本日の見出し&お買い物

Upojenie

Upojenie

  1. Pat Metheny & Anna Maria Jopek『Upojenie』(Nonesuch Records) [amazon]
  2. チャーリー・ヘイデン『ファミリー&フレンズ − ランブリング・ボーイ』(Universal Classic & Jazz/1と2、CD) [amazon]

 今日は、最近になって立て続けにリリースされたメセニーの異色作とサポート盤の、まとめて注文したものが届きました。

 見出しにも引用した1は、パット・メセニーポーランドの歌手アンナ・マリア・ヨペクと連名でリリースした、一風変わった作品。というのも、ヨペクや彼女の周囲のミュージシャンによる曲も収録しているのですが、半数近くがメセニーの曲をカヴァーしたもの、しかもピアノ独奏による『Letter From Home』を除いて、すべて歌詞をつけている。先日、You Tubeで見出しにも引用した名曲のライヴ演奏を発見したのですが、かなり驚きました。しかも実は2003年にリリースされたもので、今回ライヴ含む3曲を追加、曲順も変更して再リリースしたのだそうです。知らなかったのが自分で悔しい。

 しかしこれは、想像以上にいいアルバムです。透明感のあるヴォーカルと、ジャズに近づきながらもポップスの雰囲気を留めたアレンジが、メセニーの曲と演奏にいつもと異なる味わいを添えている。全体に、ヨペクの側がメセニーのスタイルに寄り添って曲作りをしているような印象ですが、引用した曲などは終盤にオリジナル版を彷彿とさせるシンセ・ギターのソロが長々とフィーチャーされており、メセニー・ファンとしては感動するほかありません。基本的に透明な雰囲気が全体を支配してますが、個人的に思い入れの強い『Follow Me』が奇妙な味付けを施されて、アクセントをつけているのも侮りがたい。望外の収穫でしたが、知らなかった自分がほんとーに悔やまれる。

 そして2は、メセニーにとって長年の盟友であるチャーリー・ヘイデンがヴァーヴからエマーシーに移籍して初めてのアルバム……と言っても日本でのリリースは同じ会社からなのであまり関係はない。しかし、移籍第1弾なのに内容がカントリーだというのが人を食ってます。

 ですが、ライナーノーツを読むと実はそれも当然だったようで、ヘイデンの両親はふたりともカントリー・ミュージシャンであり、いわば原点を、題名通りに家族と共に探るのは自然の成り行きだったようです。メセニーとカントリー、という組み合わせにピンと来なかったのですが、最近やたらと頻繁に演奏している『Is This America? (Katrina 2005)』は従来のアレンジを優先しながらも後半でカントリー・タッチの伴奏を組み込んで、いっそう情感を増している。『The Fields Of Athenry』終盤の長いソロ・パートはECM時代の爽やかさを彷彿とさせて、こちらも意外なくらい溶けあってました。メセニーが参加していない曲のストレートなカントリーっぷりも快い。

 このアルバムにはもうひとつ注目すべき点があって、1曲のみですが『スクール・オブ・ロック』などの個性派俳優ジャック・ブラックがヴォーカリストとして参加していること。いや、この人の音楽センスの確かさは疑ってませんが何でヘイデンのアルバムに? と思って調べてみたら、実はジャック・ブラックの奥さまはターニャ・ヘイデンといって、チャーリー・ヘイデンの娘――つまりジャック・ブラックにとってヘイデンは義理の父という間柄だったそうで。ああ、それじゃ本作のテーマからして参加しない方がおかしいというものだ。ついでにこの曲には、バンジョーという楽器の幅を拡げてまくっているベラ・フレックが素直な演奏で参加しているのもポイント。

 ……というわけで、たった2枚なのにやたら語るところがあるという、私にとっては非常によいお買い物でありました。

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