これの冒頭で台詞を喋っているマイルスの声がまるで風邪引きのような嗄れ声だから、というしょうもない理由で引いてみた。マイルス・デイヴィスがコロンビアに残した最後のアルバム……とレビューには書いてあるが、実際にはこのあとに『オーラ』がリリースされているはずなので、所属中に発表された最後の録音、というぐらいの表現が正しいような。見出しにした冒頭の一曲では、たまたまレコーディングを覗きに来たスティングを警官役として急遽起用しているが、話によるとこのときのギャラの支払いで揉めたことが、マイルスに長期に亘って作品をリリースしてきたコロンビアと袂を分かつことを決意させたらしく、ある意味因縁の一曲とも言える。
この時期でも最もポップス色を濃くした一枚ですが、それ故にマイルスの愛好家にはあまり受けは良くない。のちにライヴでも定番となる名演『Human Nature』と『Time After Time』の二曲が収録されているために辛うじて認められている、という微妙な位置づけのアルバムです。私はけっこう好きだが。
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