なんで、まず通報する、っていう発想がない人ばかりなのか。[レンタルDVD鑑賞日記その838]

封印映像66 自殺配信(Amazon.co.jp商品ページにリンク)

 1月30日に、2023年7月リリースの『封印映像66 自殺配信』を鑑賞。奇妙な地名について取材していた女性クルーが失踪したのちに残した映像《オシッコ様》、アメリカの都市伝説に出てくるモンスターが現れる古民家に潜入した映像の異様な顛末《日本のブラッディ・マリー》、娘の成長記録を撮影するうち、自分の全盛について口走り始める《前世の少女》、見たら呪われる、という噂の動画を巡る表題作の全4篇を収録。
“フェイク・ドキュメンタリー”と呼ぶには、各篇の会話が全般に台詞くさくて受け入れづらい。ただ、そういう前提で、作り物のホラーとして観れば、アイディアは決して悪くない……だからもうちょっと演出を練って、「もしかしてマジかも」とちょっとでも思わせてほしいのだが。
 とはいえ、細部の粗さもまた気になるところ。たとえば冒頭の《オシッコ様》、興味を惹かれるタイトルに、ちゃんと実在する日本の民俗学的モチーフを採り入れているのはいい着眼だったと思うのですが、展開がどうにも安っぽく不自然。取材に行かせたふたりが揃って姿を見せなくなったなら、何らかのアプローチがあって然るべきだし、そんな彼女たちからこの映像が届いたら、こういう番組に投稿するより前に警察に行くべきだし、少なくとも関係者は何とかして部屋を調べるはず。ここの収録されるまでの紆余曲折がもうちょっと感じられないと不自然です。
《前世の少女》は異変が発生したときの親の行動が明らかに演技臭いのが興醒めだし、巻末収録の表題作は、伏線の仕掛け方と回収がありに雑。投稿映像2本目をちょっと詳しく見ればすぐに気づくことを、なんでわざわざ大発見みたいな調子で話すスタッフのやり取りで見せるのよ。ナレーションだけでいいでしょ。
 とにかく、着想は悪くないし、展開ももうちょっと寝ればよくなりそうなのに、ツッコミどころが多すぎる。前にも同じようなこと書いてますが、新しい演出を入れるべきではなかろうか。そうすれば、“チープだけど見応えのあるホラー”くらいにはなりそうなんだけど。

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