5月16日に、2023年12月リリースの『Not Found 51-ネットから削3除された禁断動画-』を鑑賞。お互いのスネの強さを競い始めた若者の残念な結末《すね蹴り》、引っ越したばかりの部屋で生配信をしていた男性を襲う恐怖《赤い服の集団》、人魚を撮影したという男性を事務所に招いたことで始まる珍道中《日本にもいた! 人魚発見》、高架下で遊んでいた女子高生達が不気味なものを撮ってしまった《帰り道》、娘の誕生日に紛れ込んだ異様なプレゼント《贈り物》前後編の、全6篇を収録。
もともとリリースのペースは落ちていましたが、前AD杉本が離脱したあたりから更に間隔が延びている気がします。
しかし内容は良くも悪くも相変わらず。冒頭に肉体的に痛い類の映像を置いて、純然たる怪異と生身の怖いエピソードを入れる一方、人魚のエピソードのようなほぼ“お笑い”としか言いようのない代物も収録してる。
これまで、杉本に道化役を押しつけていた感があって、今回はこのシリーズによく出てくる“怪しい人”を軸に、スタッフ全員が適度にボケて笑いを誘うような展開になっている。何か反省したところがあったのかも、と私としては邪推せずにいられません。色んな意味であり得ないエピソードなんですが、観ながら突っ込むのも楽しいので良しとしよう。
怪奇ドキュメンタリーとしての見せ場は前後編の《贈り物》ですが、正直、これがいちばん引っかかる。原因となる“呪い”の背景と実際に起きてることがいまいち接続しにくい、というのも訝しいところですが、最初の怪異を撮影した母親の反応がことごとくピントがズレていて、まず引っかかる。娘が虐められてるのを心配する以前に、まずその出所を怪しむべきだし、そこまで行けばより真っ当な対処に辿り着くはず。そもそも、一回でもこの動画をネットに上げてるのが不自然なのよ。
そして、終盤で選択した行動もだいぶおかしい。いちどでもこの成り行きを後悔してしまうような人だから辻褄は合ってる、とも言えますが、スタッフもこの一部始終に触れたなら、せめて関係者のプライヴァシーは考慮してあげるべきではなかったか。本当の出来事なら撮影者とその娘さん酷い目に遭うぞ。フェイクだ、という大前提のうえで評価しても、ここまでリアリティがないのはどうなのか。
AD杉本が抜けても基本は変わっていないので、続けて観るのにやぶさかではないのですが、もーちょっと経験値の豊かさを感じさせて欲しい。
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