8月10日に、2018年9月リリースの『心霊曼邪羅11』を鑑賞。自分の動画視聴者に着なくなった衣類をプレゼントする企画の撮影中に起きた怪異《断捨離》、エロ本の自販機がまだあるのか、という企画で街を歩いていた男性たちが撮影した不気味な存在《街散策》、心霊スポットのトンネルを訪ねた二人が異様な体験をする《廃トンネルの怪異》など、全11篇を収録。
依然として取材パートはなく、背景やその後はナレーションで補うだけのシンプルな作り。怪異に至るまでの展開で、ちゃんと視聴者の関心を惹きつけることが出来てるのはやっぱり好感が持てます、が、だからこそ肝心の怪異のパターン化が気になる。
パターン化まではギリギリ許容するとしても、怪異の動きや、それに対する撮影者のリアクションに不自然なところがあって、最終的な印象を胡散臭くしているのがもったいない。急に変なものを目撃したとしても、お約束のようにカメラを動かして、画角から外れた途端に消える、というのばっかりなのは不自然。内容的に、すぐに異変だと認識できなくて撮影を続けていてたほうが自然な場合もある。特に《児童公園の神隠し》は、咄嗟に目を逸らさなければいけないものだ、と認識するには無理があって、だからそのあとの展開も余計不自然な印象を強めてしまっている。なんならこれ、気づかずに撮影者ももっと大変なことになってるほうが自然だよね。この流れなら、怪異そのものに撮影者が気づかず普通に会話をして、カメラをよそに向けてふたたび振り返ったら誰もいない、のほうが納得できる。怖さは薄れるけど。
怪異そのものの動き、見え方にも疑問があって、首を傾げるエピソードが多いなかで、《廃トンネルの怪異》だけは個人的にけっこう買いたい出来映えです。た心霊スポット探索、しかも廃トンネル、というもはや手垢の付きまくったシチュエーション、展開も基本的にはよくあるパターンなんですが、前振りとなる異変から、露骨なまでに気配を放って迫ってくる怪異から急激なクライマックスは、正直に言って、普通に怖かった。ひとつひとつはありがちな手口でも、ちゃんと組み立てていれば充分に怖い、という好例だと思う。
この時期、リリースのペースが早いながらも、エピソードごとにちゃんと導入の仕方、その後の展開に違いがあるので、工夫をしているのは感じる。ただ、ただ、大事なところで不自然な流れや、しっくり来ない説明があって、失笑させるような仕上がりになってしまっているのは惜しい。ほんとに、某シリーズと比べれば見込みはあるんだけど。
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