色々アウトなこともしてるけどね。[レンタルDVD鑑賞日記その896]

心霊~パンデミック~フェイズ29(Amazon.co.jp商品ページにリンク)

 1月14日に、2024年4月リリースの『心霊~パンデミック~フェイズ29』を鑑賞。配信のための心霊スポット探索で恐怖に遭遇する《廃工場》、旅館でリボンを拾った投稿者に相次ぐ怪異を辿る《赤いリボン》、人気上昇中だった生配信者を襲う奇禍《たすけたいだけなんです》、婚約者の異変を記録した映像に残った異様な出来事に関する投稿が、思わぬ秘密を暴き立ててしまう《ちすじ》前後編の全5篇を収録。
 なんか、前巻から少し持ち直してきた気がします。相変わらず徳丸や、前巻から存在をちらつかせるようになった演出の言動には引っかかるものがあるし、前巻で的確な指摘をして視聴者の溜飲を下げてくれたスタッフも離れてしまったけれど、初々しくもちゃんとオカルトに理解のあるスタッフが加入し、彼女が素晴らしく活躍してくれたお陰もあって、見応えのうる巻になってる。メーカー側で色々とあった反動か、新人に対して配慮を見せるようになったことも奏功したかも。
 習い性となってる非常識な行動、不自然な描写はあちらこちらに窺える。《赤いリボン》終盤の出来事は、カメラを扱う人間なら別の方向にレンズを向けるべき展開だと思うし、《たすけたいだけなんです》は、事情があるにせよ、この投稿者と関係者は会わせるべきではなかったはず――まあ、正直、そのあとの展開はある意味で面白かったんですが。投稿者は色んな意味で気の毒だけど。
 しかし、今回はやはり、いつも以上に尺を使った長篇《ちすじ》が圧巻。
 ここでも徳丸は相変わらず如何なものかと思うような言動があるし、そもそも途中の判断と行動は、怪奇ドキュメンタリーとしてはちょっと逸脱してる。途中で使っている映像なんか、下手をすると訴えられるぞ。
 そういう前提の上でも、投稿者の婚約者が見せる不審な行動から、思わぬ秘密が明らかになっていく過程は、どうしても惹きつけられるし、結末の残す苦さと薄気味悪さはいい意味で悪い余韻を残す。
 シリーズとして築いてきた個性を、適度に踏襲しながら、レベルアップを始めた印象を受ける1巻でした。新人スタッフがいい具合に作品としての良心を生み出しているので、彼女がこのまま残ってくれることを祈りつつ次にも期待したい。

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