暑は夏いね。

 梅雨明けとともに、急激に暑くなりました。ちょっとでも油断をしたら熱中症に陥りそうです。
 しかし個人的には、この暑さでちょこっとだけ助かっていることがあります。
 在宅透析の時間が、ちょっと短縮できるのです。
 透析は、食事などで摂取した毒素を血液から取り除く、というのがメインの目的ですが、それと同時に、身体に溜まった過剰な水分を取り除く役割もある。
 透析患者は腎臓がほとんど機能していないので、放っておくと摂取した水分がどんどん蓄積されていく。飲料だけでなく、米や肉、野菜にも水分は含まれますから、これはどうしても避けようがない。水を取り除かなければ、肺や心臓が浸水して、陸にいながら溺れたような状態になるので、透析時はこの手続が欠かせません。
 そのため、透析開始前に体重を計測し、前回の診察で医師が決めたドライウェイトとの差を出して、透析中の食事、及び身体に血液を戻す際に使う生理食塩水の200gを加算した分を引いていく。私は週6日のペースで透析を実施していますが、お休みする前日までにはドライウェイトになるよう、除水の設定を調整しています。
 この透析時の除水、クリニックなどであれば、結構なスピードで引くことも出来ますが、私が管理してもらっている在宅透析では、装置に予め限度が設定してあって、1時間に1kgしか引けない。加速しすぎると、血液濃度や血圧の急低下による意識障害の危険があるので、きちんと医療の専門家が注意しているわけではない自宅では、抑制しているわけです。
 だから、毎日最長で3時間を目安に実施している私は、1日3kgまでしか引けない。しかしこれ、結構簡単に増えてしまう。もともとそんなに量は食べない私でも、ちょっと水分を摂り過ぎると、1日で2kgくらいは平気で行ってしまうのです。通常の施設透析をしている人よりも制限はない、とは言い条、透析で拘束される時間をなるべく少なくしたいなら、ある程度は考えて食事しないといけない。
 が、夏が本格化すると、ちょっと話が違ってくる。
 冬場はよっぽどハードに運動しないと汗をかかないので、ほぼ食事量イコール除水量、くらいになってしまうのですが、気温が高くなれば、いくら内部障害を抱えている私でも汗をかく。身体が鈍らないよう運動していればなおさらです。
 ちょうど関東の梅雨明けが発表された金曜日、母の都合に合わせて私は透析を休んでいた。休み明けの昨日、透析前に測った体重は、ドライウェイトから3.2kgの増量。透析中に飲むコーヒーや軽い間食で想定される追加は600g、生理食塩水のぶんを考慮すると、ぜんぶで4kg。
 ……頑張って、4時間透析を実施すれば、もうドライウェイトだ。
 在宅透析を始めて間もなく3年。もうそれなりに経験値があるので、あんまり無理はしません。強引にぜんぶ一気に引いてしまえば、施術後、それなりに疲れが出るし、場合によっては血圧や血液濃度が下がりすぎることもある。なので、昨日は2.5kgを抜くに留めました。このくらいだと、自宅で可能な最速で除水を行っても、意識障害はもちろんのこと、血圧の過剰な低下、透析後の疲れも出ない。
 私が通常、透析を休んでいるのは土曜日。これから6日連続で実施するわけです。仮にどこかの日に食べ過ぎたとしても、夏の暑さに流れる汗で、体重の増え幅は小さくなる。
 ゆえに、1回あたりの透析実施時間を短く出来る、というわけです。
 ぶっちゃけ、私は透析自体は嫌じゃない。施設に通っていたときでさえ、拘束時間は長めだけど、実施すれば身体の調子は確実に改善する。まして在宅透析は、きちんと実施するほどに、体調が楽になるので、喜んでヤってるくらいです。
 とはいえ、やっぱり毎回、長時間繋ぎ止められるのは色々と困る。透析中、座ったままで出来ることはだいたい出来る、とは言い条、何せ針を刺して血を引いて戻す、ということをしている。透析装置は施術中、血液が凝固するのを抑制する薬剤をゆっくり注入し続けるのですが、身体に影響が出ない範囲なので、ちょっとしたことで血液は固まる。そうすると、透析装置に取り付けた血液回路のなかで詰まったり引っかかったりして、循環しづらくなるので、患者はあんまり大きくは動けない。そういう状態ですから、やっぱり出来ることには制限がかかるし、こうした血液回路の詰まりらしきものが生じると、圧力の変動で鳴るアラームが鳴る。これを止めてもういちど回し、というのを繰り返していれば、たいてい詰まりは取れて順調に循環を始めるのですが、どうしてもアラームが繰り返し鳴る場合、針先に血塊が詰まっている可能性もあるので、1回針から回路を取り外し、針先のクリーニング作業なんてものも自分でやらなきゃいけない。そういうことを考えると、やっぱり透析中、動くことは難しい。状況によっては、ノートパソコンのキーボードを叩くのも躊躇せざるを得ない。
 だから、発汗で水分が溜まりにくくなる夏場は、私にはちょっとありがたいのです。もちろん、そんな私でも熱中症の危険はあるので、万々歳じゃありませんが。みなさんちゃんと水分摂ってね。

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