昨年12月リリースの『ほんとにあった!呪いのビデオ90』を鑑賞。夜釣りをしていた男性達が不可解な存在に遭遇する“鈴の音”、心霊スポットだという雑木林に侵入した投稿者たちが目撃した怪異“団欒”、玩具のカメラに記録された異様な映像を巡る前後編“子供用カメラ”など全6篇を収録。
ず~っと微妙な出来のままだった演出がようやく交代、これでちょっとましになるか――と思いきや、そうでもなかった。
長篇は悪くない。題材や記録された現象にシリーズ内で類例が多いのが気になるとはいえ、なかなか興味を惹かれるし、ちゃんと怖い。
ただ、他の単独エピソードがことごとく駄目。肝心の怪奇現象の映り方が不自然なこともさることながら、反応も全般にしっくり来ない。せめて投稿者などに取材して、どうしてああいう反応になったのか、その後どうしたのか、などのフォローがあればもう少し真実味を感じられたのに、ナレーションでざっくりと、関係があるかも知れない過去の出来事に触れる程度なので、あまり怖さも面白さも感じない。
……なんてこたぁ本来このシリーズは初期からちゃんと実践してたし、これだけあちこちで似たような作品が量産されてるんですから多少は学習してていいと思うんですが、代替わりするとそういうのもリセットされるんだろうか。製作やナレーション以外スタッフが入れ替わり、“協力”として過去のメンバーがクレジットされてるわけではないので、実際にノウハウが引き継がれてない可能性はありそう……それでいいの? 本当に?
長篇の出来は悪くなかったので、今後の挽回に期待したいところ……だけど、出来れば、引き受ける時点でシリーズの歴史をちゃんと理解して、勘所を掴んでから新作に着手して欲しかったよ。菊池宣秀が演出を担当していた時分、だいぶ不満を漏らしてた私ですが、いま振り返って考えれば、菊池演出の方がずっと満足度は高かった。
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