定型は守ってるんだけどなあ。[レンタルDVD鑑賞日記その720]

 昨年7月リリースの『心霊闇動画43』を鑑賞。撮影の合間にモデルをインタビューしていたとき記録された恐怖“ハウススタジオの怪”、友人同士の和やかなひと幕に撮られた怪異が思わぬ事態を引き起こす“関係を壊す”、41巻で紹介された廃墟にて別の投稿者が遭遇した怪異を記録した“黒電話”など、全6篇を収録。
 ……なんかダラーっと観てたら終わっちゃった。
 よく言えば安定、悪く言えば冒険なし。定型をきちんと踏まえているので、それほどツッコミどころもなく観られてしまうけれど、ほとんど印象に残りません。何度も言ってますが、合成っぽいのは別に構わないのです。ちゃんと説得力が備わっていれば。その点、このシリーズは筋道はちゃんとつけているけど、インパクトが弱すぎる。これで怖がってくれるのは初心者くらいで、それこそこのシリーズをずっと追ってるような人には空気で終わってしまう。
 今回、着眼と呼ぶべきは巻末の“黒電話”です。41巻にて“電話の音”というタイトルで紹介された映像と同じ場所にて、ほぼ同様の怪異を記録した、というかたちで綴られている。確かに、こんなに現象が明白なら再現性があっても不思議はないので、怪奇ドキュメンタリーの切り口としては間違ってない。
 ……ただ、残念ながら、そして当然のことながら新鮮味はない。むしろこんなにはっきりと怪異の証明が取れたのなら、それこそこの廃墟や、電話機の実在などを調査するドキュメンタリー部分が必要なのではなかろうか。スタッフがあまり出しゃばらないのは、この類の映像作品では珍しい部類なので美点とも言えるのですが、そこまで殊勝にならなくてもいいのに。これこそちゃんと調査しようよ。

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