今年8月リリースの『ほんとにあった!呪いのビデオ93』を鑑賞。古いホームビデオに残された不可解な人の姿“僕の家族”、夜更けに犬の散歩で訪れた講演で不気味な出来事に遭遇する“さ迷うもの”、蕎麦屋での取材を撮影した映像から始まる前後篇“邪魔”など、全8篇を収録。
怪奇ドキュメンタリーのなかではもっとも歴史のあるシリーズ、ですが、正直近年は余り安定してません。中期から演出補として在籍していた川居尚美が離れたあたりから、だいぶクオリティは下がっていて、戻りきらない印象。
さすがにどうしようもなく不出来なものはない、とはいえ、ほとんどの映像が趣向として前例があるものばかりなのが引っかかる。しかも初出ほどのインパクトはない。
毎回、ある程度力は入っている長篇も、展開はちょっと風変わりなように見えるものの、状況を整理すると比較的ありがちな怪談に落ち着いてしまっている。賃貸の店舗物件に棲みついた怪異、というモチーフを、実際に入れ替わる前の店舗と現在の店舗とでふた通り映像を確保した、というのはこのシリーズほどの歴史があって初めて成立する趣向ですが、それ以上の面白さがないのが残念。
何度も書いてますが、映り込んだ怪異が合成だって私は構わない。ただ、それならもうちょっと変化や、魅せるための工夫が欲しいのです。出方にしても怪異のヴィジョンにしてもありがちすぎてびっくり箱程度の驚きしかないぞ。
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