1月16日に、2023年7月リリースの『心霊闇動画79』を鑑賞。家族で川下りを楽しんでいるところを記録した映像に映り込んだ怪異《ライン下り》、新居からの夜警を記録していたカップル遅う不気味な出来事《ベランダからの眺め》、廃墟となった介護施設に潜入した男女3人が悪ふざけをした結果、味わった恐怖の記録《介護施設の調理室》など、全6篇を収録。
このシリーズは本当に“質より量”に徹しているようで、調べてみたら、1作目から9年でこの巻数に達している。『ほんとにあった!呪いのビデオ』の倍近いペースで、まあそりゃあ中身も粗くなるよな、とは思う。
取材パートのないエピソードは全般に、「よくそれに気づいたな」という内容のものが多い……まあ、だからこそ掘り下げて取材してない、とも言えるんですが、しかしたとえば《木登り》なんか、肝心のものより、木登りした子供が降りてくる向こうに見える人影の方がちょっと気味が悪い。たぶんあれは別に怪異でも何でもなくそこにいる人なのでしょうが、だったら確認のうえ触れていてもいいのではなかろうか。その辺の気の抜け方が、“粗い”と言わせてしまう。
そのぶん、投稿者へのインタビューを含めたエピソードは、投稿映像の展開も、取材で判明する背景や後日談も込み入っていて見応えがある。いつもながら、投稿者の話だけ鵜呑みにしないで、現地調査とかの様子も入れて補強せえよ、とは思いますが、このリリースの早さでは致し方のないところ。製作費も安いだろうし。
ただ、それを抜きにしても、展開がパターン化していること、定番のようでいてあり得ない要素が混ざっているのはちょっと看過しがたい。
ホラーとしてはよく出来ている《ベランダからの眺め》ですが、流れは『ほん呪』でもあったもので、調査の掘り下げが甘い分物足りなく感じる。あの男性の様子をもうちょっと調べようよ。
巻末の《介護施設の調理室》はもっと問題です。展開は怪談めいていますし、現代的な要素も入っているためこちらもホラーとしては見応えがある。ただ、投稿映像の着地があまりに不自然すぎる。最終的に、その場にいた人物は二人とも失神していた、というオチは許容するとしても、では二人がどういう順序で失神したのか。映像の様子では、撮影していない人物は怪異にあとから気づくか、本人も自覚していない状態で意識を失っているはずで、その状況も明白にされなきゃいけないのに、本篇の描き方はあまりにざっくりしている。このモヤモヤが、エピソードそのものを受け入れづらくなってます。せっかく投稿者も被写体も取材に応えてくれてるし、より異様な後日談も引き出してるんだから、それ以前に投稿映像の細部を明瞭にしてくれ。
……書き始めたら自分で思ってたより辛い内容になってしまった。製作スケジュールや予算の厳しさも察してるので、ある程度は大目に見てあげたいんだけど、今回は匙加減を間違えてる気がしてならなかったので。
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