4月17日に、2023年8月リリースの『封印映像67 イザナミの呪い』を鑑賞。引っ越して以来、肥り暴力的になった妻に悩まされた夫のカメラが捉えた異変《寝肥女》、やたらと物をくれる隣人が最後に残していった恐怖《隣人》、待ち合わせに遅れてきた友人が拾ってきたものが思わぬ災厄を投稿者にもたらす《拾ったスマホ》、流産した妻のために霊媒師を呼んだことから、想像を超える事態に発展する《イザナミの呪い》の全4篇を収録。
演出がなにかに攫われてしまってからいったい何巻重ねたのやら。このシリーズはいまいったい誰が演出しているのやら。
しかし演出が消えても、このシリーズはあんまし変わってません。相変わらず、アイディアは悪くないけど詰めは甘いし、出てくる人たちのやり取りがどーしたって芝居臭い。この2点を解消すれば、もうちょっと真に受けてあげるのに。
ただ、それにしたって表題作はちょっといただけない。日本神話の原点に近い存在を呪いの源泉に規定しちゃうのはさすがに駄目。いったい何をしたらこんな呪いを受けるのよ。それっぽい何か、ぐらいに留めておかないと、観ている方が受け入れられません。百歩譲って、そういう呪いがあるのだ、と受け入れるとしても、日本神話としてはかなり一般的で連想はしやすいんだから、登場人物の一連の反応はどーしても不自然に映る。そもそも、どうしてこの経緯で霊能者を呼ぶのか、に疑問があるし。
でもやっぱり相変わらず着想はいいのです。引っ越してから突如肥り始め性格も変わる、という特殊な呪いを描いた《寝肥女》、異変がユニークな形で現れる《隣人》、そしてモチーフはほとんど定番だけれど繋げ方でマワ新しいホラー感を出している《拾ったスマホ》。もうちょっとナチュラルな台詞回しが出来ていれば、もっと没入できたと思うだけに、ほんとーに惜しい。
もう前の演出がひょっこり戻ってくることはなさそうだし、ならばもうひとり、ちゃんとした演出を呼んで補強すべきだと思う。チープであっても、どう考えてもあり得なくても、見せ方次第ではもっと面白くなりそうな題材なんだから、もうちょっと頑張ろうよう。
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