7月16日に、2018年7月リリースの『心霊盂蘭盆Vol.4 御子神祭の怨霊』を鑑賞。流産して落ち込んでいる妻を励ますため訪れた廃神社で異様な体験をする《霊台巡り》、自主映画のロケハンをしていたと思われる男性達が《禁忌の竹薮不知》、不審な言動をするAVの出演者について、素行調査をしていた人々が撮影した恐怖《呪念写》、ドキュメンタリーで解離性障害の女性に密着した際の映像と、その背景を巡る連作《多重人格の女》と表題作の全5篇を収録。
4巻目にして遂に、すべての映像が繋がっていく実質的な長篇が登場。たまたま繋がる映像がひとつのシリーズ、共通するスタッフの元に届くなんてムシが良すぎだろ、とは思うのですが、私ゃどーしてもこういう趣向が嫌いになれません。ついつい楽しくなってしまう。
舞台はほぼすべてひとつの、閉鎖された神社。何らかの理由で立ち入ってしまった人々が撮影した怪異が、集まることでより大きな恐怖をさらけ出していく。とりわけ最後の2つのエピソードで、それまでの映像で提示された要素が結びついていくのは、なかなかにゾクッときます。
ただまあ、乗っかってみるにはいささか不自然なポイントの多い嘘、と言わざるを得ないのもまた事実です。
特に引っかかるのは、かつて行われていた祭りで、子供たちを巫女にしていた、という部分。男の子も“巫女”に選ばれることがあった、で簡単に済ませてますが、その場合、恐らく“巫女”以外の名称を用いていたはず。昔は男女の別をもっと明確にしていたことが多かったので、少なくともこういう混同は起きない。古くからある祭というならなおさらに。
そしてもうひとつ、この一連の出来事について深い調査をするなら、まず着手すべきなのは、廃神社の歴史です。いったいどういう由緒があったのか、どんな祭が行われていたのか、そして何故、フェンスで囲われ封鎖されてしまったのか。20年前までは祭が実施されるほど普通に信仰されていたのですから、記録は残っているはずだし、たとえ神社に管理人がいなくとも、地元で存続のために活動することはあるはずなのです。終盤、いちおう説明らしきものはありますが、ほとんどが曖昧な説明に終始している。折角の長篇なのに、この辺の甘さが引っかかるし、何ならちょっと、冷める。
最近の『心霊闇動画』とかに比べれば、遙かに凝っているし、見応えはありますが、説得力の点ではもうひとつ。作り込もうとしているだけ、個人的には好感が持てるので、視聴は継続します。
コメント