警察でも救急車でもいいから早く呼んで?![レンタルDVD鑑賞日記その873]

心霊盂蘭盆Vol.5 煩悩の邪慢(Amazon.co.jp商品ページにリンク)

 7月24日に、2018年10月リリースの『心霊盂蘭盆Vol.5 煩悩の邪慢』を鑑賞。特殊詐欺の講習に赴いた投稿者が遭遇した不可解な出来事《裏稼業の呪殺》、美容系の動画配信を早くから実施していた女性が撮影中に見舞われた悲劇の一部始終《メイク》、ナンパサークルに新たに入った青年が初めての挑戦で遭遇した怪異の記録《吸血女》、修了製作で違法ドラッグにまつわるドキュメンタリーを撮影していた投稿者達が記録した怪異を追った表題作の全4篇を収録。
 8巻まで観てきた『心霊曼荼羅』のほうは、パターン化した部分が増えてしまって、少々微妙な感じが強まっているのですが、こちらは5巻時点ではまだまだ楽しめる。やはり映像そのもののストーリー性と、それを補う取材パートの存在は重要だと思う。
 ただまあ、課題はあります。シチュエーションには工夫はあるけれど、怪異が起きる前後の反応にやや不自然なところがある。《メイク》など、カメラを持って動揺するより先に、救急車を呼ぶべき案件。動揺してまともな思考が出来ない、と捉えても、ちょっと頼りなさ過ぎる。もっともこの『~盂蘭盆』、社会人としてどうなの? という言動をする人が出がちに感じるので、それくらいでいいのかも知れない。酷い評価の仕方だけど。
 もっと不可解なのはそのあとの《吸血女》です。映像に記録された範囲では、それと解るほど異常な痕跡が現場にある、しかも映像から判断する限り、投稿者自身もその一端をちゃんと感じていたはずなのに、事態を処理した結果がああなるのはあまりにも不自然。あそこに、あの異常は残ってなかったの? そして、映像から想像すれば、確実に当事者の身体にはあったはずの痕跡はなかったの? それらが消えていたのだとしたら、投稿者へのインタビューで言及していないのは不自然。少なくとも、スタッフ側が指摘しなきゃ駄目でしょ。無茶苦茶大事なところなのに。
 他2篇にしても、細かく不自然なところはある。ただ、全般に言えることですが、ちゃんと作り込もうとする意欲は窺えるので、こうやってあれこれ指摘しつつも、嫌いではないのです、私は。フェイクではないのかも、と思ってしまうようなリアリティは必要だ、と愚直に考えるならいまひとつではあるけれど、展開で惹きつけ、視聴者に恐怖を味わわせる、という点では決して悪くはないし、姿勢そのものは評価したい。とりわけ、意外な展開を見せる表題作など、導入から想像される方向ではなく、短いなかに伏線と回収があるので、表題作としたのも納得の意欲作だと思います。この経緯は意外でした。
 というわけで、問題はありつつも、まだまだ評価出来るので、引き続き積極的に鑑賞します……でも、出来れば、禍々しさを演出したいがために、不自然な熟語をタイトルにするのはやめたほうがいいと思う。邪慢、はなんか違うぞ。

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