7月27日に、2024年5月リリースの『封印映像70 ラブホテルの出来事』を鑑賞。怪談に端を発する交霊術を試してみた大学の映画サークルが体験した恐怖《スクエア》、撮影場所、時期、投稿の経緯すべてが不明な映像について探る《ミドリさん》、陰キャだった友人がキャバ嬢と付き合いはじめた、という話に、その女性の真意を探ろうとした撮影者が記録してしまった怪異《いつき》、記憶のなかにしかいなかった女性を風俗店で発見し、事情を探ろうとした人物の異様な記録を巡る表題作の全篇を収録。
立て続けに鑑賞したのは、前巻と一緒に届いたからです……正直、辛かった。
1巻程度では状況は変わらず、やっぱり芝居と、設定の拙さがどーにも引っかかります。
いちばん問題があるのは《ミドリさん》です。取材の結果として出てきたデータから、このくらいの時期に撮影された映像らしい、とか言っているのですが、どー考えても、映像に登場する人たちの言葉遣いや服装がしっくり来ない。また、何らかの事情で映像はあちこちに劣化が生じている、という風に描かれてますが、このくらいの世代の録画方式では不自然すぎる障害なのです。怪奇現象なんだから、という言い訳をするにも、撮影機材の特徴に見合わない劣化や異常は起きないんです、普通は。フィルムによるマスターにデジタル由来のノイズは入らない、というのと一緒です――そういう怪奇現象が起きたら面白いけど、だったら取材パートでそこまで踏み込まなきゃ。本当に投稿映像だったとしても、視聴者に侮られてニセモンばっかり来るぞ――その結果が、この微妙な仕上がりだったりするの?
相変わらず、どのエピソードも前提はちょっと興味を惹かれるものがあるし、展開もホラーとして面白い。ただ、ちょっとでも本物のドキュメンタリーでは、という可能性を考えてみたくなるほどのリアリティはまるで足りてない。《いつき》は導入部分こそ少し感心してしまったものの、肝心の怪異を捉えた部分から映像の締め括りまではだいぶ不自然だし、舞台となった場所の状況も説明があまりにしっくり来ない。メールを読み上げている段階で無責任な感想を口にして、勝手な憶測で気持ち悪がったり、失礼極まりない表題作も大問題です。だいたい、この投稿者は、取材の段階ではおかしくなってるように映るけど、本人が理性を取り戻すか、本人の関係者が事情を知ってしまった場合、名誉毀損で訴えられても仕方ない採り上げ方だぞ。
前の巻の見出しにも書きましたが、ドキュメンタリーを装ってる、という意識がとことん足りてない。そういうホラームービーだと割り切って鑑賞しても、笑い話のネタにしかなりません……そのつもりで製作してるならいいんですけどね。私ももうそのつもりで、ツッコむために観ている、というのが実情だし。
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