9月11日に、2019年2月リリースの『心霊曼邪羅14』を鑑賞。動画チャンネルのために廃神社を訪れた男性ふたりが見舞われる恐怖《呪われた祠堂》、脱法ドラッグを使用した投稿者が知らず知らずのうちに撮影していた不気味な映像《幻覚症状》、結婚生活に問題を抱えた女性の映像に幾つも起きる怪異を追った前後篇のエピソード《お憑かれ》など、全8篇を収録。
遂にドキュメンタリーパート登場。姉妹シリーズの『心霊盂蘭盆』と区別がつかなくなりそう……と言い条、『ほん呪』などの先発シリーズの例に倣って、長篇エピソードのみ、投稿映像と撮影者への取材で構成するスタイルを取ったようなので、そこまで被りはしないかも。
相変わらず、ホラーとしての工夫は評価出来るんだけど、あちこち詰めが悪い。まず冒頭の《呪われた祠堂》、訪れたのは廃神社という話なんですが、堂宇の前の灯籠が真新しい電気式になっていて、石段には鉄製の手すりが設けられていたり、とそこまで廃れた印象はない。怪異が発生してからの展開には面白くなりそうな気配はあったんですが、友人が見当たらなくなったときの反応、怪しい人影が現れたり消えたりしたときの態度に不自然さが色濃い。限られた設定でホラーの雰囲気を演出するスタンスは買うけど、いまひとつ踏み込みが甘い。
他のエピソードにしても、きっかけや展開の着眼点はいいのだが、肝心の怪異がチープすぎて、発想を活かし切れていない感は強い。本当に、そこがどうにも惜しくてならない。
ただ、そのぶんだけ長篇となった《お憑かれ》は見応えはある。最初は投稿者の姉が実家に戻っている際に起こした奇行と怪異の関係を疑っていたのに、後編になると様相が変わる。決してスタッフの調査が、映像の関係者がおかれた状況を好転させることはないが、怪奇事件についてのレポート、としては成立している。捉え方を変化させるきっかけになった情報の解釈についてはモヤっとするものがあるし、後編でここまで事態が悪化するのもいまひとつ釈然としないし、更には、そういう背景があるなら関係者の周辺に解決手段を持っているひとがいたのでは……とあれこれ気になるところを悪い形で残してしまっているが、シリーズとしては新しい段階に入った、と好意的に捉えられる……やっぱり、姉妹シリーズの『心霊盂蘭盆』との差別化が図れるのか、がいちばん心配ではあるけれど。
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