11月21日に、2024年7月リリースの『ほんとにあった!呪いのビデオ106』を鑑賞。散歩中にはぐれてしまった飼い犬を探す様子を記録した映像に不気味なものが紛れ込む《捜索》、本シリーズ100の劇場公開時に記録された怪異《舞台挨拶》、チェーンラインに添付された動画を観て以来、怪現象に悩まされる学生のために調査を進めたスタッフが目撃する思いがけない闇《呪いのビデオ》前後編など、全6篇を収録。
……このところ、ツッコミどころの方が多い作品ばかり観ていたせいで、ちょっと感動すら覚えてしまった。仮にこれが作り物だとして、ここまで考えてあれば許せるのです。
冒頭の《捜索》からして如実ですが、まず撮影のきっかけがいわゆる廃墟探索、心霊スポット潜入など、ありきたりなものではない。そして、怪異が映るのは一瞬であっても、だからこそ撮影者はそっちに気を取られていないし、映像で確認するまで気づいてもいない。なぜなら、探しているのははぐれた飼い犬だったから。動機づけがしっかりしているし、取材によるエピソードに繋がりがあるような感覚がおぞましい。撮影者には気の毒だけど、怪奇ドキュメンタリーとしてはしっかりしてる。
何より、前後編の長篇エピソードの質が高い。かつての“不幸の手紙”に連なる子供たちの行為、その元を辿るうちに、どうやら浮かび上がってくるらしい、シリーズ存続の危機に繋がる出来事――という振りがすべて解決していないので、恐らく2024年夏の連作の一環なのでしょうが、この導入だけで既に手触りが充分すぎるほど厭。
添付された動画の忌まわしさもさることながら、慄然とするのは、元を辿って浮上する、チェーンライン初期を知る人々の言動です。どうやら最初にばら撒いたらしい人物を紹介する女性二人の、無駄にはしゃいでいる印象の悪さに対し、紹介された女性のオドオドとした態度。そして、最後に現れる、チェーンラインそのものの発端と見られる人物の奇行。各々から垣間見える、彼女たちの関係性にまず戦慄します。後編で記録された怪奇現象なんてどーだっていい、と言うくらい、彼女たちの様子が怖い。
このシリーズがいいのは、それに対するスタッフの人間的な反応です。演出補・男鹿が思わず口出ししてしまうくだりは、正直悪手だし、もうひとつ配慮が足りないのだけど、あんな風に言ってしまう心境は理解できる。今回、急遽参加した新しい演出補の戸惑いっぷりも含めて、とてもリアル。
映像そのものの不気味さも大事ですが、撮影者や投稿者、関係者に取材するドキュメンタリー部分があるのだから、そこに不自然さがない方が断然いいし、このくだりがあることでおぞましい出来事を想起させるから、より怖くなる。
前述の通り、長篇は連作の一部のようなので、結末はお預け。ただ、現時点では続きを期待したくなる、いい引きです。早いところ観たいが……相変わらずこのシリーズは人気のようで、なかなか発送されないのよね……。
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