12月13日に、2024年6月リリースの『心霊闇動画90』を鑑賞。正月の風物詩に興じていた家族の撮った動画に不気味なものが映り込む《凧揚げ》、85巻で紹介された映像についての追加報告《懐かしの神社 その後》、執拗につきまとう男性とのインターフォン越しのやり取りが捉えた怪異と、《モガミ》など、全6篇を収録。
……同時に届いたのが、老舗シリーズが節目という意識で繰り出した力作だっただけに、著しく物足りないです。
このシリーズの弱さがもっとも露骨に出ているのは巻末、本巻の1/3くらいの尺を費やした《モガミ》です。正直、映像単体なら、こういう怪奇映像集ではよくあるタイプの現象で、それ以上の発展がないのを、インタビューで膨らませている。しかし、それがず~っとインタビュー映像のみ、怪奇映像に登場する、インターフォン越しに執拗に話しかけてくる男性に直接取材を試みることはおろか、現地に赴き、周辺の状況を調査することすらしていない。怪奇映像のあとに、新たな証言で色々と背景を付け足してはいますが、それらと怪異の因果関係が一切窺えないので、いまいち興味を惹かれないし、インタビューそれ自体も間延びしている。このシリーズの膨らませ方では怖さも面白さも伝わりにくい内容。タイトルにもあるこの人物を引き続き追う、とか言ってますけど、いっそ他社のシリーズに送り直してもらって、そちらで詳しく採り上げてもらうべききではなかろうか。
他のエピソードも相変わらず微妙な仕上がり。唯一、《凧揚げ》だけは映像的にちょっと面白かったのですが、これもまた、現地で証言を求めたり、何が映り込んだ可能性があるのか、ちょっと調べた方が面白くなるはず。過去に採り上げた映像に、実は投稿から削除されていた箇所があって、そこにも怪異は映っていた、という趣旨の《懐かしの神社 その後》に至っては、掘り下げてしまったが故に、却って不自然さが増してしまった。なんで応募前に編集を施したのか、あんな露骨に変な部分に気づかなかったのか、とか。
相変わらず、ペース落とせばいいのに、と苦言を呈さざるを得ない質。このまま月刊ペースを貫いていれば、ちょうど来年の夏には3桁に達する。ペースだけは賞賛してあげたいけれど、結果として観ている方にほとんど刺さらない、悪い印象がぼんやりと残る出来映えに留まってしまう程度でいいんだろうか。
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