2025年1月2日に、2019年5月リリースの『心霊曼邪羅16』を鑑賞。心霊スポットと呼ばれる山中に踏み込んだ男女3人が遭遇した怪異《闇夜の人魂》、買ったばかりのカメラで何気なく記録した奇妙な出来事《デート帰り》、差出人不明で届いたSDカードに収録された、心霊ドキュメンタリーの断片らしき2本の映像の謎を紐解いていく《偽りの投稿映像》前後編など、全8篇を収録。
2025年最初に鑑賞した1本は……正直、だいぶ不満。あんまりこういうフレーズは使いたくないんですが、正直、このネタをやるのは10年早い、と言わざるを得ません。
肝心の通常のネタからフェイクっぽさがまったく消せていないのに、安易なフェイク作りに警鐘を鳴らす、みたいな話を扱うのは、まだレベルが致命的に足りてません。せめて通常のエピソードでもっと多彩さと、多少映像に加工っぽさが残っても、視聴者をねじ伏せる説得力ぐらいは身につけてからやってほしい。
一方の単発ものは、まあホラーの演出としては悪くないかな、と思うものの、見せ方として失敗している。いちばんの問題は、全体の映像が暗すぎて、肝心の怪異がもの凄ーく目をこらしたり、コントラストの優れたモニターでないと確認出来ないということ。だから、不気味な霊、とか言われても、そのものの姿がはっきり見えないので、怖いとか面白いとか言う以前に、何を感じていいのか解らない。せめて、リプレイのところで、肝心の怪異が映っているところの映像を調整して、見せたいものを強調しなきゃ駄目です。
数少ない、明るい空間で怪異らしきものがはっきり見える《デリヘル》は、状況からすると、怪異が発生した瞬間に撮影者が見せた反応が不自然。このとき、そこにいたはずの女性の姿がいなくなっていたのですから、恐らくあのシチュエーションであれを目撃したとき、驚きは当然ながら、「消えたと思った人物が急にそこに現れた」と捉えて、振り向くほうが自然です。この作品に限らず、下手なフェイクものは、怪異に遭遇するとすぐカメラを振って怪異から目を逸らしてしまいますが、それもまた状況次第だ、というのをちゃんと考えたほうがいい。映像的にはいちばん普通に不気味な《鮒おじさん》とて、この違和感を免れてはいないのです。
……だから、他のクリエイターの嘘を暴くようなネタを入れるのはかな~り時期尚早だと言わざるを得ないのです。フィクションという大前提の作品で、そういうテーマを扱うのとは話が違うのよ。意欲だけは買うけど。
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