1月16日に、2020年5月リリースの『心霊盂蘭盆12 冥婚輪廻』を鑑賞。結婚式二次会の余興のために動画を撮影していた際の怪異《赤い封筒》、フリーランスの映像作家が記録した奇妙な出来事の連続《撮影者の鬼胎》、ふた組の結婚を控えたカップルの災難を繋ぐ《冥婚輪廻》など、全5篇を収録。
今回の統一テーマは“冥婚”です。世界的に似たような風習は確認出来るそうですが、近年有名になったのは、台湾から拡がったと思われるそうな。独身のまま亡くなった家族の婚姻相手を、道端に赤い封筒を放置、それを拾った人物に強要する、という趣旨で拡がっていましたが、どうも古い習俗ではなく、この20年くらいのあいだに生まれ、一気に下火になったらしい。ニュースでも見た覚えはあるのですが、かつては不気味な噂として扱われていたものが、ほとんど見かけなくなったからこそニュースになったわけで、恐らくもはやフィクションの題材でしかない。
この題材は『ほん呪』でも採り上げられてるし、他のシリーズでもちらっと触れていた覚えはあるんですが、だいぶ前の話で、この作品がいまから5年半前だとしてもちょい遅い。そのあいだに、風習や伝承が歪められ、こういう風に変化した、と捉えるくらいはいいんだけど……それにしても、仕掛けをする側の心情を考えると、本篇の展開、描写はあまりに悪質な“呪い”です。だって、赤い封筒を手に取らせるだけで呪いが成立してるのよ。もともとの伝承では交渉だったり、もう少し工夫やプロセスが必要だったのに、本篇のそれはあまりに影響が顕著すぎる。
何より、本質は“供養”と捉えられる儀式なのに、展開もさることながら、モチーフに“呪い”という趣が強すぎる。そもそも赤い封筒は台湾ではお祝いに用いられていたもので、祝福の意図がある。そこに、生者の独身人物を縁づける、という発想があるのがおぞましいとはいえ、文脈からすれば、普通に綺麗な封筒であるべきなのです。この作品のなかで出てくるような、綺麗な赤ではなく、血を塗りたくったようなイメージがそもそもしっくり来ない。
仮に、独自に発展して“呪い”のように変化した儀式だ、と捉えても、本篇の描写は“餌”として難があるし、影響が顕著に過ぎる。決して歴史は長くないはずなのに、どうしてここまで“呪い”として成立してしまったのかも奇妙だ。儀式と現象の因果が、もうちょっと解き明かされないと、あまりにも腑に落ちない。
ただまあ、冥婚”という儀式を用いて、早逝した家族の冥福を願い、その想いが暴走した結果、“呪い”を撒き散らす、という構図も、その因果な顛末も、ホラーの趣向としては決して悪くない。ただ、このクオリティでフェイク・ドキュメンタリーにしようとするのはちょっとおこがましい。もっとリアリティを意識しましょう。少なくとも、あんな汚くて薄気味悪い封筒、軽率に開ける奴はなかなかいないし、それが結婚を控えた男性である確率は低く、そこに狙いを定める必然性もない。なんかピントがズレてる。
そしてこのシリーズ、というか、演出担当の弱点として、インタビューに答える人や、怪異によって変調を来した、と思われる人物の反応にいまいちリアリティがない。投稿者や関係者の言動が全般に、話す出来事に死を伴う異変があった人の態度として説得力に欠けるし、怪異で変調を来した人というのも、あんなに「私怖いでしょー?」みたいな振る舞いはたぶん、しない。態度は普通だけど言っていることが異常とか、常軌を逸したことを淡々と行うとか、もうちょっと踏み込んだ描き方をして欲しい。
怪異の趣向とかは決して嫌いではないけれど、やっぱり整合性とかリアリティの部分で色々と問題を抱えている。もったいないなぁ。
即効性が高すぎる呪いだ。[レンタルDVD鑑賞日記その927]
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