『エンジェル・ハート』第三話 XYZの街

 前回で本格的に心臓=香の記憶を甦らせながらも、困惑して彷徨い続けるグラス・ハートは、忽然と思い浮かんだXYZと伝言板というキーワードに導かれて、ふたたび新宿へ、というくだり。

 だいぶ線が崩れてきたなあ。部分的な表情のアップならまだいいんですが、全身を描いているときの顔や躰がかなり不安定になってます。原作の描線を尊重しているのは解るんですが、アニメでやるのは無理なんだからはじめから省略したもので調整しておけば良かったものを。獠の豊かな表情が緩急の変化の拙さで効果を損なっているし、ドクの顔の崩壊ぶりなんか見ていて哀れにすらなったぞ。

 話運びは、モノローグが少ない分前の二話よりも落ち着いている印象です。説明台詞で補うのではなく、回想や幻影で心臓の記憶や獠の想い出を合流させることで、次第に接近していく両者を効果的に演出している。絵のクオリティを別にすれば、話としての仕上がりにはこれまででいちばん好感を抱きました。まあ原作通りなんだけど。

 今後、登場人物が増えて会話の比重が大きくなれば更に違和感は薄れると思われますが――辿りつかないような気は依然として消えず。

 あともうひとつ、香がめったやたらに語尾に「わ」をつけるのが変な印象。昔は相手が獠ばかりだったことを差し引いても、もう少し蓮っ葉な口の利き方をしていたはずで、やたらと“母性”を意識しすぎたような彼女の言葉遣いが特に引っかかります。三話ずーっとこの調子だったので、今更どうにもならんでしょうけど。

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