夜中になんか遊べない。

 今週も映画を観に行く気は満々、だったのですが、皆様ご承知の通り今週末は24日。赤と白のお祭り騒ぎのまっただ中であり、混雑が予想されるため、一日手前の本日、午後に無理矢理時間を作ってお出かけしてきた次第。

 ……しかし、一日手前だろうと混んでいることに変わりはない。寧ろ23・24・25と週末に重なってしまったあおりで、あらゆる機関が活動を急いでいるのでしょう、どこもかしこも大混雑。上映開始まで一時間ほどの余裕をとっておけばいつもは充分なのに、六本木に到着したときには上映開始十分前でした。毎度ながら満車同然なのに看板も立てずに放置しているバイク駐輪場についてはもう何も言うまい。

 折からの寒波と相俟って、ビル風が人を飛ばさんばかりになっているため、正面玄関周辺が封鎖されていた森ビルの脇を抜けてVIRGIN TOHO CINEMAS 六本木ヒルズへ。約一ヶ月半ぶりの訪問ですが、今回ここを選んだのには幾つかの理由がある。詳しくは後述。

 列をなす客の数に対してチケットカウンター係員の絶対数が少なく、発券にだいぶ手間取りはしましたが、どうにか企業CMを見逃した程度の遅れで無事に劇場入り。鑑賞したのは、アメリカ人作家が描いた日本の芸者の物語を、チャン・ツィイー主演、渡辺謙ほか日本人俳優多数の出演で映像化した、ハリウッド流“日本の美”の映画SAYURI』(ブエナ ビスタ インターナショナル(ジャパン)・配給)。これも周囲の評判は安定していたので心配なく鑑賞しに行きましたが、確かによい映画。やはり日本の描写には幾つも微妙な点が見受けられますが笑い飛ばすことの出来るレベルで、何より日本に存在するモチーフを多数鏤めて構築した現実志向のファンタジーとして完成されており、立派な作品だと思います。日本人俳優がことごとく適材適所に配されていたのも嬉しい。詳しい感想は後日、このへんに

 大変心地よい気分でスクリーンを出たあと、いつもは鑑賞前に確保するプログラムを購入し、それから本日この劇場を訪れたもうひとつの理由を片付けにかかる。

 全国各地にあるTOHO CINEMAS系列劇場では、シネマイレージというサービスを実施しています。まず映画を六本観れば一本無料で観られる、というものがあり、実は本日の『SAYURI』もこれで鑑賞しました。そしてもうひとつ、この無料招待で鑑賞したもの以外は、その上映時間に合わせてマイレージが蓄積し、そのポイントを適宜用意された商品に交換できる、というサービスもある。こちらは毎年12月31日が期限となっており、たとえば今年鑑賞した映画のマイレージは、すべて来年の12月31日まで未使用のままだと、2007年の年明けには消滅してしまうわけです。つまりこの年末には、2004年に鑑賞したぶんのマイレージが期限切れになるということ。

 そこで交換を促すためか、この年末にTOHO CINEMAS系列ではキャンペーンを行っているのです。通常で用意されている商品のほか、2000マイルでシングルの、3000マイルでペアの映画鑑賞券と交換できるサービスを期間限定で用意し、更に300マイルで一回、旅行券やiPod nanoなどの景品が当たるプレゼントに応募できる、という企画もやっている。ふだん用意されている商品はポップコーンにソフトドリンクとの交換、一般料金でプレミア・スクリーン鑑賞券にアップグレードできる権利などがあるのですが、あまり魅力もなく利用できる機会も少なく、最高の賞品である一ヶ月のフリーパスは6000マイル、いつも利用している六本木でのみ9000マイルが必要となる。この一年間で貯まったマイルはおよそ3000程度――つまり、私の鑑賞ペースでは、六本木のフリーパスを入手するのはほぼ不可能。貯めておいてもメリットは少ないので、この機会に利用してしまおうと考えたのです。

 手持ちのマイルから、予め交換するものはシングルの映画鑑賞券と、プレゼントへの応募券三枚と決めていた。そこで本日分のチケットを購入するときカウンターで交換できないか確認したのですが、五分ぐらいかかるというので、観賞後に廻すことにした。

 そんなわけでプログラムを確保したのち、チケットカウンターに足を運ぼうとしたのですが、プレゼントの応募券については、インターネット経由で購入したチケットなどを発行するするvitという発券機で印刷したうえで、劇場にある用紙に貼付して提出する、ということになっている。vitは売店のすぐ横にあるので、まずそちらを済ませることにした。すると、応募券含むすべての景品がいったん交換用のチケットとして発券されることに気づき、劇場鑑賞券のチケットもついでに発券した。

 が、いざ発行されたものを見ると、いまいち扱いがよく解らない。何せ、普通の入場券と同じミシン目入りのチケットに“映画鑑賞引換券”と記してあって、発行日も明記してあり、下には「商品の引換は当日限り有効です。」という注意書きがある。普通に解釈すれば、“映画鑑賞券との交換”が、このチケットを発行した当日のみ有効で、鑑賞券の期限とは別扱いだと解りますが、しかし読みようによっては、映画を鑑賞する権利そのものが当日限りと解釈できなくもない。そのままチケットカウンターに並んで確認しても良かったのですが、どうもそちらは未だ係員の数が足りていないようで、列が異様に長い。そこで、インフォメーションのほうで訊ねようと考えた。

 実のところ、勝手が解らないのはプレゼントのほうも同様でした。発行された応募用チケットには、シネマイレージ会員の番号が明記してある。一方、貼付して提出するよう求められている応募用紙を見ると、こちらにも会員番号を書く欄が設けられているのに、氏名や住所、電話番号を書く欄はない。要するに、商品の発送に必要な情報はマイレージ会員の登録に使用したものを用いる、ということなのでしょうが――なら、わざわざ応募用紙に貼るなんて手間を取らせる必要はないんじゃなかろうか。vitで発行したチケットの半分を用意された箱に入れれば簡単でいいと思うのだが。

 そのうえ、応募用紙はあっても、それを投函する場所が見つからない。インフォメーションに訊ねる前に、横にあった応募用紙を抜いてもういちど読み直したのですが、どこに提出すればいいのか一切書かれていない。だいたい、現場に置いてある、いちばん確かな情報源であるはずの応募用紙に、「詳しくはホームページ www.tohotheater.jpをご覧ください。」と書かれているのがどうにも解せない。手許にパソコンがないのにどうやって参照しろと? この用紙を作成した人間の神経自体がそもそも理解不能だが、そこからツッコミだすと時間がかかって仕方ないので、とりあえず映画鑑賞券との交換についての疑問だけ質そうと、インフォメーションカウンターの女性に、「すみません、これなんですが」と言って、映画鑑賞引換券を見せて訊ねようとした。

 するとこの女性、ろくに人が話しもしないうちに、「これは半分に切って、そちらの用紙に貼って――」と言い、映画鑑賞引換券を千切ってしまった

 話によれば発行したのはやはり交換券であって、チケットカウンターで引き換えれば、期限が今日限りではない映画鑑賞券に換えてもらうことが出来る。半分に千切ってしまったとはいえ完全に向こうの過失なので、持っていけば問題なく交換してもらえる。解りづらい記述がそもそも拙いのだが、しかしこの場合、何より腹立たしいのは、人の話を聞く前に早合点してチケットを千切ったことそれ自体です。

 腹立たしいのはこのことに留まらなかった。一緒にカウンターへ、という女性を、新たな問い合わせの客が詰めかけるインフォメーションに押し戻して、私はチケットカウンターに並ぼうとしたのですが、列が伸びすぎて、通行を妨害しているのに、誰もそれを管理していない。業を煮やして、インフォメーションから人の列が途切れたところで、先の係員の女性にどうにかするよう忠告してから列に着く。

 その後、私がカウンターに辿り着くまで十数分。もともと三人ぐらいしかカウンターに居なかったところへ、何か長々と確認している客がいるようで、ひとりがずっとかかり切りになっていたために、客を捌いているのは事実上ふたりだけ。増員する気配はない。私が辿り着いた時点でも状況に改善は見られませんでした。で、交換を頼むと、受け付けた係員は「五分ほど宜しいでしょうか」と言って奥に消えたまま、本当に戻らない。この間、前述の客はいまだカウンターのひとつを占領している。相変わらず列は伸び続けているのに、動いている係員は一人きり。応援は来ない。係員が行ってしまったあと、この状況で待ち続ける心苦しさをどう表現したものか。

 ようやく戻ってきた係員に、さっさと応援を呼んできなさい、と言い、またもういい加減腹に据えかねたため、前述の応募券についても「敢えて応募用紙に貼って提出する理由がまるで解らないので、作業が必要ならそっちで勝手にやってください」とそのまんま係員に渡してしまう。

 来続けていたからこそ見える粗――というわけではないでしょう。今日のこの劇場は、映画のいい余韻を掻き消してしまうくらいに酷かった。ちなみに現在、TOHO CINEMAS系列では、こんな企画を実施している。……マイナス票なら投じてもいいけど、あの状況では投票したいと思う観客すら現れないと思うんだが。

 映画が終ったあと、このゴタゴタで三十分以上を費やしたうえ、帰り道はクリスマス含む連休直前の夜ということもあってか、どこもかしこも異常な大混雑で、家に辿り着くまでにふだんの2倍近い時間がかかってしまった。お陰様で、もー疲労困憊です……逆に、今日映画を観ておいたのは正解だったかも知れないが。この三連休、どれほど混雑するのか、もう想像もつきません。明日は飲み会に参加する予定ですが、残り二日は家に籠もります。

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