『地獄少女』第二十話 地獄少女対地獄少年

 聞いた瞬間に脱力するこのサブタイトル。そして冒頭数分で観る気さえ失いかかりました。……駄目すぎる。駄目すぎる。どうしようもなさすぎる……

 それはさておき話の粗筋。地獄を垣間見た経験のあるという超能力少年ジルが、“自分と同じ匂いのする”地獄少女への対抗心を抱き、自らがインチキを暴いた超能力者を操って地獄通信にアクセスさせ、対決の場を設けようと画策する。柴田は少年に接触し、地獄少女を止めるよう説得しようと試みるが……

 ……今回閻魔あいが初めて登場したシーンがあまりにも淫靡で眩暈がしました。なんで笛吹いてるんだよ。唇を湿す動作だけにどーしてそんなに力入れてるんだよ。このシーンだけリピートしそうになったじゃないかぁぁぁ*1

 で、肝心の内容ですが……酷いよなあ。まず超能力タレントがインチキであるのはいいとしてトリックについてまったく考慮してないし、超能力少年がどうして核の不明瞭な“地獄少女”の噂を信じて、しかもそれが特殊能力の通用する生身の人間であると考えていたのか。こんな胡乱な少年の発言をあっさりと信じ込んだテレビ局スタッフの番組構成の仕方もあまりに異様。だいたいテレビ局の人間って“本物”のオカルトは忌み嫌うものだ――というリアリティまで配慮する必要はありませんが、それにしても成り行きが非現実的すぎる。

 何より今回の話でいちばん問題なのは、いままでも大した役に立っていなかった三人の仲間が、本当にどうしようもない木偶の坊だと明確にしてしまったこと。地獄少年の能力の凄さを証明したかったのなら彼らにこれ以前に活躍の場をもっとちゃんと与えて比較材料を用意するべきであり、翻って数少ない活躍の場面でこの始末では、完璧に「いるだけ無駄」の存在にしか見えなくしてしまった。改めてスタッフが無思慮に彼らを使っていたことを浮き彫りにしたエピソードであり、なんか三人組が気の毒に思えました。

 ただ、部分的に感心したところはある。ある一線を超えるまで閻魔あいが力を行使しようとしなかったこと。地獄に流される直前の地獄少年の発言。そしてようやく、ようやく閻魔あいとつぐみを結ぶ線が暗示されたこと。なるほど、閻魔あいにこういう影響を齎すのはそれなりの能力者でなければならなかったはずで、そう解釈すればこの人を馬鹿にしたような“地獄少年”というモチーフも意味はあった。

 とはいえ、設定の浅はかさ、話運びの拙さは相変わらずで、今回声優が若干豪華になっているぶん、余計に切なかった……まあ、笑いどころには欠かなかったので、ある意味では楽しかった、とも言えるのですが。

*1:実際あとでもう一回見なおしたわけだが。

コメント

  1. 冬野 より:

    「着替えさせてあげよう→ゴスロリ服」には酷く期待を裏切られました。

  2. tuckf より:

    そもそもあそこで着替えさせる必然性もあんましないですしねえ。ではどうすれば良かったかと訊かれると……午後五時台にやるのが無理なことしか思い浮かばないな。

  3. ホッシー より:

    とりあえず地獄少女が好きなことだけは解った

  4. 一人囃子 より:

    個人的にはエスパー渡辺の本名が「わたなべひろし」だったところに興味を覚えました……。

  5. tuckf より:

    >ホッシーさま
     ある意味では大好きと言えましょう。そうじゃなければさすがにここまで頑張って見続けませんです。
    >一人囃子さま
     ……きっと、出たかったのでしょう。まるでリアクション芸人みたいなキャラクターであったとしても。

タイトルとURLをコピーしました