『まんが日本昔ばなし』第十六回

  • 『うぐいす長者』

 男は行商をして生計を立てていたが、あるときどうしても商売がうまく行かなくなった。考えていつもは行かない田舎へと足を進めたが、迷った挙句辿り着いたのは美しい娘達の暮らす豊かな家。女主人は男の商品をすべて買ったばかりか、娘の婿にならないか、と提案してくる……

 展開が早すぎて、作業の傍ら眺めていたらついていけなくなって、あとから見なおしたりして。普通に考えれば地蔵の恩返しの話なのですが、なぜああいう話運びになるのかが不思議な展開。春以外の季節に彼らがどこでどうしているのか、を幻想的に解釈している物語と言えましょうか。

  • 『きつねのボッケ』

 三右衛門は、毎晩のように畑でイタズラを働く狐に悩まされていた。そこである晩、徹宵見張りを続けたのだが、瞬く間に逃げられてしまう。代わりに狐が落としていったぼっけ*1を拾ったが、これがちょっと変わった代物だった。やがて、どうしても返して欲しい、と狐が頭を下げに来るが……

 オチも教訓もなし、が切り抜いた絵を動かしているような独特のタッチのためにやたらと和む話です。最終的にはまた痛い目を見せられる三右衛門ですが、必ずしも恨んでいる節がなく、そのまま従来通りの日々の営みを続けていくのが象徴的。

*1:帽子のこと。

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