その日はつぐみの母・あゆみの命日だった。過去の経緯から柴田は墓参を拒否してひとりで行動する。別行動を取っているさなか、つぐみはまたしても閻魔あいの見ている光景を感知するが、それを柴田に伝えるかどうか迷うのだった……
たとえどんな怨みがあったとしても、たとえ途中から同行者がいると解っていても、つぐみぐらいの女の子をひとりで墓参りに行かせる親が最低の部類に入ることだけは間違いないと思われ。つぐみの母との経緯にしても、客観的にいくらでも存在する自らの非をまったく認めておらず、おかげで「復讐はやっちゃいけないことだ」という台詞の説得力まったくなし。前提となる自分の責任を認めて初めて説得力の出る言葉であり、柴田の身勝手さを裏付けることにはなっていますが……本当に製作者の狙いがそこにあるのかがいまいち判然としない。
それ以前に、あの状況の浮気については場合によっては夫側の責任も認められるはずで、つぐみと離婚したあゆみとを逢わせずにおく、というのはたぶん家裁が認めてくれないでしょう――と思いましたが、詳細が描かれないのでそこまで突っこむ必要はないか。離婚そのものが調停抜きで成立したのなら、ああいう身勝手な状況もありうる――但しそうなると柴田の言動から誠実さがいよいよ感じられなくなってしまうんですけど。
相変わらず、話を構成する理念は解るのですが、細かいところの詰めが甘かったり、パーツ選びを間違っているのでぎこちない印象を覚えます。こと、今回は付け合わせも同然となっているあいたちの“仕事”部分では、もっと柴田自身の過去と類似点のある人物を配するべきだったでしょう。そうすれば柴田の感情のねじれももう少し伝わったと思うのですが。ところどころ手抜きはあれど、柴田のアップやあいたちの登場シーンあたりの作画は安定していただけに、やっぱり脚本の悪さが問題であるとしか思えません。次回では復讐する側のエゴが強調されるような気配があるだけに、ならば尚更観察者である柴田の言行に説得力を齎すべきだったと思うのですが。
しかし、ああした成り行きで自身の行動が一種“復讐”に等しい制裁となってしまったと自覚している、という描写と捉えれば、今回の内容が示したいものは納得がいく。そうした背景があるからこそ、閻魔あいの行動を阻止しようとしている、という動機は成り立つわけです。と、理解できるからこそ、そういうものを示すための話運びにもうちょっと慎重であって欲しかった。
あと、背景にいるキャラを止めっぱなしにしておくのは勘弁してくれないもんだろうか。下手をすると話の内容より怖いです。
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