『怪談徒然草』
判型:文庫判 レーベル:角川ホラー文庫 版元:角川書店 発行:平成18年3月10日 isbn:4044493030 本体価格:552円 |
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企画を担当した三津田信三氏と、一部ゲストとして東雅夫氏を招き、両者を聴き手に著者が自らの体験を語り、それを文章に起こすというかたちで纏められた、異色にして正統派の怪談本。2002年にMedia Factoryより刊行されていたものを、文章の体裁を改めたうえで文庫化。
親本の初刊時に読んでおり、当時書いた感想と基本的に印象は変わらない。やっぱりこの著者の感覚はちょっと突き抜けており、巻末の三角屋敷と『珊瑚の祟り』のエピソードの厭さは凄まじい。今回文庫化にあたって、エピソードそのものも対話形式で綴られていたものを、怪談としてより体裁を整えるために対話部分を削り簡略化したそうだが、生憎と親本が手近になかったため、どの程度変更を施したのかは解らなかった。 しかし残念なのは、最大の目玉であり、実は未だに著者や直接の体験者に因縁がつきまとっているという三角屋敷について、当初噂されていた追加エピソードがなかったことである。それどころか、その後もあまりにおぞましい体験が相次いだために著者が拒否反応を示し、誤字脱字の修正や体裁を揃えるための加筆を除いて大して手も加えていないという。親本を購入しているか読んでいる人が改めて本書を購入するのはまさに“その後”が知りたい、という動機が大半であると想像されるだけに、出来ればひとつやふたつ、仄めかす程度だけでも追記が欲しかったところだが――反面、怪奇体験についてあれほど強面を通してきた著者がそれほど忌避していること自体が、このエピソードの洒落にならない怖さを証明しているようにも思える。そこまで想像させてくれるだけで、充分という捉え方も出来るだろう。 何はともあれ、当初これを最後に実話怪談からは足を洗うつもりが、却って体験が途切れなくなり、雑誌『幽』などへの寄稿を続けるきっかけとなってしまったほどの本書、怪談を愛好しつつ未読である、という方は手に入れやすくなったこの機会に是非ともご一読いただきたい。 |
コメント
そんなに怪談が好きなら埼玉へ。私が唯一、賽銭を入れた瞬間に蛾の大群がブワッと出てきて顔面にバチバチと当たってくるわ、それとは関係なく翌日に両腕全体に酷い水疱が出てきて腕中血まみれ+高熱でぶっ倒れるという経験をさせられた恐怖の神社(神職不在)の場所を教えてあげますよ。
怪談が好きなのと実際に体験したいのとは別ー。
えーっ、加門さんも吃驚の体験ができるかもしれませんよ。自慢できますよ(嘘 それはともかく鳥居の前の道路に横向きではなく縦向きに轢かれてペシャンコという、世にも不思議な状態の蛇の死体があったのも思い出しました。