前シリーズではアリア社長の日常を描くために用いていた2話構成ですが、今回はネオ・ヴェネツィア――というより惑星アクアの風物を描くために利用してきました。
- その 雨の日の素敵は…
アリシアと共に、日本の社を再現した島を訪れた灯里。彼女が初めて体験する天気雨の直後、林立する鳥居のなかでアリシアとはぐれてしまった灯里は、思わぬ光景を目撃する……
原作でも個人的にお気に入りの幻想絵巻を、かなり理想的なかたちでヴィジュアル化していて嬉しい限り。訪問時と帰途の背景、それから鳥居の並ぶ森の遠景がいささか書き割りじみて不自然なのが気になりましたが、過剰に脚色せず雰囲気を再現することに腐心した作りには好感を抱きました。
- その 春にみつけたものは…
休日に“春探し”を提案するアリシアに導かれて灯里が訪れたのは、アクア入植当時に輸送用の鉄道が設けられていた島。土地を肥沃にするために植えられた花、使われなくなり廃墟となった駅舎、花に埋もれた線路、それらを辿って、灯里・アリシア・アリア社長は歩く――
弁当の中身も水筒の入れ物もアリア社長仕様ってどれだけ社長ラヴなのだこの会社は。
それはさておき、これも原作では出色のエピソードのひとつ。他の話のようにやたらと夾雑物を加えるのではなく、ちゃんと個々の良さを際立たせようとしたのは評価したい。あとは、たとえばラストシーンの光の扱いであるとか、やっぱり往路の書き割りじみた背景とか、もーちょっと作画に細かな配慮があれば文句はなかったんですけど。
とまれ、今回は2本合わせて『ARIA The Natural』となってからの、現時点での最高傑作という手応え。藍華とアリスの出番がまったくありませんでしたが、まあそれは仕方なかろう。
コメント