黒崎(山下智久)の新たな標的は、欠陥建築を売り捌いて泰然とする建築会社・協創住宅。住宅事業部を対象に騙すことを持ちかけられる黒崎だが、つい先日、マンション事業部を大規模な詐欺にかけられた直後であるため、住宅事業部の榊原(鶴見辰吾)のガードは固い。黒崎はその詐欺の背後に、かつて対峙したシロサギ・白石(加藤浩次)の影を感じ取る。同様に、今度は住宅事業部をカモにしようとしている白石も、黒崎の暗躍を嗅ぎつける……
……なんかなあ、黒崎の詐欺師としてのレベルが低すぎてリアリティに欠いているのですが。ティッシュ配りのバイトをしている氷柱と遭遇したとき、自分から声をかけておいて、依頼人から関係を訊ねられると「知らないっすよ」……あのね、本当に知能犯相手にやり合うような男なら、弱みを握られるようなやり取りするべきじゃないでしょ、たとえ依頼人であっても。どうもこの男はとうてい“史上最強の詐欺師”には見えないのです。主人公とヒロインが同じアパート暮らしという古臭いラヴコメ設定も、何も考えずに使っているだけだし。だいたいあれだけ長時間コーヒーショップで働いてたら賄いぐらい出るぞ。氷柱のバイト周りの描写のリアリティ欠如も呆れるばかり。ほんっとに、この推敲不足の脚本は見ていて苛々します。
但し、今回の駆け引きのアイディアは悪くなかった。視聴者の思い込みを利用したどんでん返し自体は効果的です。ただ――その周辺のドラマ作りが浅くてねえ。もう少し丹念に伏線を張るなり、詐欺師の話らしく情を排除して酷薄に描くなりちゃんと割り切らないと効果が出ないでしょう。
話を抜きにして、氷柱の貧乏話として見ると、その哀れさが却って面白かったりするのですが。例によって貫禄のある桂木(山崎努)は見応えがありましたし、とりわけ再登場した白石=加藤浩次の醸し出す雰囲気は素晴らしかった。この様子だととりあえずシリーズからは退場っぽいのがちと寂しい。
部分的には満足したのですが、相変わらず全体的な出来は微妙。次回以降も観るのか大変悩んでます。何はともあれ、氷柱に対してああだこうだ言うなら、まずゆかり(市川由衣)にトドメを刺しておけ黒崎よ。本気で邪魔なのは氷柱よりも彼女だぞ、どう考えても。
コメント
ドラマはともかく、突っ込み芸が確立されつつあるので、是非最後まで観てください(笑)
せ、精神力が保つかどうか……。