アクア出身の藍華とアリスよりも、やたらとネオ・ヴェネツィアに知り合いの多い灯里。藍華とアリスは、午後から練習を抜けて買い物に出かけるという灯里を追跡して、その知り合い作りの秘密を解き明かそうとする。ヴァポレットという乗合船を利用する灯里を物陰から窺うふたりだが、灯里に特別なことをしている様子など微塵もなく……
これも原作では好きなエピソードのひとつで、どう料理するのか興味津々でしたが、なかなか宜しいのではないでしょうか。他の話を絡めたりせず、如何にもアリスらしい“屍体運搬人”という発想で中盤を膨らませて、原作と趣旨は同じでも少し違う着地を選ぶ。脚色としてはなかなかいい仕上がりです。出来れば“屍体運搬人”の素性に関わるエピソードにはちょこっと伏線を用意してほしかった、と思うのは私の好みであると同時に、要求のレベルを上げたくなるくらい纏まっていたから。前回同様、シナリオとしては優秀でした。
演出のほうも、ちょっと大雑把な箇所が幾つか観られましたがほぼ及第点。作画の面でも、出来ればヴァポレット内部の様子を描いているときに外の穏やかな動きを入れてくれれば良かったのですが、概ね安定していたので良し。前シリーズ初期の水準を思い出させてくれる、優秀な出来でした。……なんか、前シリーズの脚本家が関わっていない話のほうがシナリオ的には評価できる仕上がりになっている気がするが、気のせい?
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