ネオ・ヴェネツィアの運河や海の各所に立てられている、ゴンドラを繋留するためのパリーナ。企業などでは看板代わりに独自のデザインを採用し街を彩っているが、アリア・カンパニーのものはない。何気なくその話をした灯里に、アリシアは「なら、灯里ちゃんが作ってみたらどう?」と提案する。かくして、画用紙と取っ組み合う灯里だったが、想いも悩みも深すぎて、なかなか図案が決まらない……
単行本では見覚えのない話ですが、もしかしたらオリジナルでしょうか。とすれば、原作に準じた内容がほとんどだった新シリーズでは珍しい。
とりあえずオリジナルという前提で評すると――非常にいい出来です。田舎訪問以来あまり大きな出番のなかったグランマをいい形で登場させ活かしていること、パリーナ作りという過程でアリア・カンパニーの歴史と向かい合い、“逢ったことのない先輩”という要素にも糸を垂らして穏やかな雰囲気をよりいっそう深めている。
部分的に会話や演出が不自然なのが気になりましたが、トータルでは安定傾向だったのも好感触です。作画にしても同様で、やや崩れかかった箇所はあれど、ギリギリの線で踏み止まっている。前シリーズ初期ほどではないにせよ、いい感じに安定してきているのが窺えて嬉しい1話でした。……脚本は、案の定新シリーズから参加の方でしたが。
余談ですが、灯里が書き物に使用しているペンのお尻がまたしてもアリア社長であったことに想わず苦笑いしました。本当に、いったい何処までアリア社長LOVEなんだよこの会社っ!!
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