『キス・オブ・マーダー for au』

 J.B.ハロルドシリーズなんて懐かしいものを携帯電話専用でリリースしているのにいまさら気づいて、そのうちの未プレイ作品――と言っても、私はうち2本ぐらいしか遊んでなかったんですけど――である『キス・オブ・マーダー』を購入。ちまちまと遊ぶ、つもりが昨日あたりにわかに本気になって、昨晩までに終了しました。

 コマンド総当たりタイプですが、どこかの携帯電話オリジナル作品と比べると事件の流れにも雰囲気にも骨があって面白い。トリックではなく人間関係の複雑さと展開によって魅せているので、総当たりでも何とか進めようという気にさせられますし、ラストでの達成感もある。完全に押しの強さだけで事件を解明に導くJ.B.はどーよ、と思わなくもないですが、充分楽しめました。

 しかし、恐らく脚本には最初のリリースの状態にあまり手を加えていないせいなのでしょうが、人物の反応に不自然な箇所が多いのはどうにかして欲しかった。何度訪問しても反応が同じなのは赦すにしても、ある人物が殺されたのに、その人物について質問すると、殺害前と同じ言葉が返ってくるのはさすがに変です。……まあ、ここまで極端だとほとんど様式美であり、往年のAVGを知っている目にはこの安易さも楽しかったりするので、いいんですけど。

 このシリーズ、携帯電話への移植に合わせて最新作もリリースされているそうですが、どうもまだソフトバンクのみの対応でauには配信されていない。もしauでも遊べるようになったらやってみる――かどうかは解らない。いま作ってもこのスタイルのままならさすがに辛いし、別段J.B.ハロルドという探偵役に魅力を感じているわけでもないので。強いて言うならそのハードボイルドタッチのAVGという雰囲気に触れてみたくなった場合ですが、それならゲームよりもたぶんマイクル・コナリーあたりの小説を読んだ方が早いし。

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