『ひだまりスケッチ』第8回 3月13日 3%の希望

 うららかな春の休日。お昼近くまで寝過ごしたゆのは、なんとなくスケッチを始めるけれど、手が進まない。やがてやって来た宮子と落書きめいたことをしていると、紗英から“裏から入ってきて”という呼び出しのメールが。紗英は小説の締切に追われていて、買い出しをふたりに頼むのだった。

 毎度ながら脈絡もなく日常を綴っておりますが、その随所で、シリーズを通じて発達させてきた表現を巧みに盛り込んでいる。ゆのの髪飾りっていつの間に×マークの代用品として、感情表現の一部として流用されるようになったんでしょう。

 初めて紗英の、学生ではない別の顔についてちゃんと言及のなされた回です……が、そこが全般に不自然であるのが引っかかります。あの様子だと月刊誌連載に寄稿する小説家と見えますが、なら毎月いちどは似たような状況に陥っているはずで、なぜ3月なんて遅い段階でいまさら描かれたのか。あと、少し他人に対していい顔をしすぎです――ま、バレバレの嘘をついているあたり、可愛らしくはあるのですけど。

 初期のような数話越しの伏線はなく、全体を束ねる趣向も弱め。でも、シリーズに慣れてしまうとその緩さが心地好い。表現での実験性もここまで来ると安定してきて、いい具合の1話でした。

 ところで、次回予告を観てちょっと驚いたんですが――この学校の名前“山吹”って、新宿の山吹を意味してたのか、もしかして? 実在する新宿山吹高校とはむろん別物でしょうけれど。

コメント

タイトルとURLをコピーしました