『武装錬金』第23話 BOY MEETS BATTLE GIRL

 あまりに重い選択肢を託されたまま、カズキと斗貴子はいちど、学校に戻った。妹や友人たちには、任務がすべて片づいたような嘘をついて。胸を痛めるカズキに、剛太は戦友として理解を示し、他方蝶野は“人間”のままのカズキと決着する願望のために、不可能と宣告された白い核鉄の精製に挑むことを伝える。

 意図的に、演出も描写もスピードを落とした回。初期に頻繁に挿入された日常シーンよりも密度、速度を下げることで微温的な雰囲気を拡げ、比較対象として戦闘場面の非日常性を強調する。多くの前提があるからこそ、この一見何でもない少年少女の時間が切なく映るのです。セオリー通りではありますが、巧いなあ。

 そういうシリーズとしての重要性を理解しているからでしょう、作画のほうも初期の雰囲気に戻って精度が高い。終盤の夕焼けのシーン、極限まで力を入れているのが実に好印象です。っていうかここで全力を注がないでどこで注ぐ。ただ、もうちょっと心理的な伏線を用意しておいて欲しかった気はします――が、これも好みの問題です。過剰に仄めかさなかったからこそ、鮮烈な余韻を残してもいる。

 毎度凝っている番組最後の静止画に添えたフレーズも、今回は特に破壊力抜群でした。先週・今週と、次回予告で斗貴子さんが決め台詞を入れていないのも、状況と心情の変化を反映していて良し。隅々まで配慮が行き渡っております。

 そしていよいよ物語は最終局面へ。意を決したカズキの、想像に難くない行動に、斗貴子さんはどう応えるのか――ま、ドラマCD2巻という前提もあるので、決着は原作通りと解っちゃいるんですが、でもそれはそれで楽しみ。

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