『エル・カザド』第3話 降られる女

 ナディとエリスの逃避行は続く。世間知らずな言動を繰り返すエリスにも、いつかナディは慣れていた。雨に降られて逃げ込んだ小屋で、ふたりは孤独な死を迎えた男と巡り逢う。そんな彼女たちを、複数のグループが追いかける――

 外の緊迫感とは裏腹に、逃げているふたりが終始和やかだという、不思議なエピソード。伏線を鏤めるだけで、単独では不自然なんですが……困ったことに、こういう雰囲気だけの話、私は嫌いではない。椅子に座ったまま孤独に死ぬ男、暖炉傍での和やかなやり取り、背後で右往左往する人々、モチーフ個々に意味はなくても、全体の空気作りには貢献している。追う謎の少年と、追われる少女との邂逅も、唐突でいささか不自然ではあるのですが、たぶんこのタイミング以外では成立させにくいのでしょう。

 作画のレベルも終始高く、女の子たちの直接描かれない体の曲線が実に綺麗。もーちょっと密度は上げられないのか、と嫌味をつけつつも、困ったことにだんだん好きになってきてます、この話。オチがよほど酷くない限り評価してしまいそうだな。

 ……しかし現状、ナディはほとんど役立たずではなかろーか。お前、いきなり意識を失ったんだから少し危機感持ちなさいよ。いちおうプロでしょ。

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