『ガリレオ』第九章 爆(は)ぜる 前編

 内海たちが防犯講習のために訪れた高校の文化祭に、『ゾンビのデスマスク』と題した顔面像が出品されていた。生徒が湖で拾った、顔面型に成型された金属片を元に作りあげたものだったが、その顔の主は額を銃で撃ち抜かれ、湖の底に沈んでいた。常識的なやり方では、金属片を人間の顔状に成型することなど不可能。被害者がかつて帝都大学に在籍していたこともあって、内海は湯川の助力を請うが、どうも様子がおかしかった……

 木島教授の家、『TRICK』の“ぞーん”の人が住んでいたところだー。

 そんなマニアな感慨はさておき、シリーズ初、そして最後となる前後編。ですのでいつもなら駆け足で解決篇に向かうところを、慎重な考察にふたつの事件が絡む構成、そして科学の功罪についての言及など、細かな描写にやや余分に力を注いでいます。他の作品なら水増しっぽくなるところですが、もとが少しスピーディすぎる作品ですし、事件の規模が膨らんでいる分、やっぱり見応えはある。何せ、発端となる謎を解き明かしても、それはまだやっと犯罪の片鱗を明かしただけに過ぎないのですから。

 そしてラストで満を持して登場したのは、久米宏……まあ、ドラマ出演自体が十数年振り、自分でも不向きだと自覚しているのを、本人の個性と役柄の相性からスタッフに熱望されて引っ張り出された、ということらしいので、台詞回しが下手なのはご愛敬ということで。いや、知的ながらも憎たらしげな佇まいは、確かに合っていることは合っている。

 役者が揃ったところで、来週に続く。原作を読んでないからほんとーに純粋に楽しめるなー。

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