大将の、アル中の父とふたりだけの生活が始まった。妻に出て行かれたことで父も幾許かは反省し、仕事を探すと言い出したこともあって、大将はどうにか乗り切るつもりでいたが、しかし足に障害を留めた父に仕事の口はなく、結局逼迫した暮らしを強いられる。そのうえ、幼馴染みの智春が街で一目惚れした17歳の少女に騙され、不良達に金をたかられる事態に陥り、庇った結果として大将自身が金を工面しなければならなくなる。胸を痛めた智春は、体育の時間にふらふらと、学校で高利貸しをして金を持ち歩いている千尋の机を探ってしまうのだった……
今回は、中段での金八先生に対するリターンが強烈でした。本当にこのシリーズ、趣向が大変に堅実でいい。回を重ねるごとにそれが如実になっています。本質的に悪人ではない、けれど直前で足の置き場を間違えてしまったために追い込まれていく大将の姿が重い。今回きりでは決して解決する問題ではありませんが、これまでに提示されたキャラクターや人間関係が見事に昇華していく展開は出色。前2期どころか、個人的に最高傑作と評価している第5期すら超えそうな気配が漂ってきました。基本は地味、と言い条、ドラマとしての構成は今までで屈指の仕上がりになりつつあります。
その印象をより明確にしているのは、深刻なシーンにも拘わらず、金八先生の放った仄かにユーモラスな台詞です。そのあとの職員室でのやり取りにしても、生徒達の重みを教師達が不自然でない範囲で軽くしているのがいい。もともと変に教師同士のやり取りを強調したり、その随所に非現実的な部分があるのが気に懸かっていたこのシリーズなのですが、今回はその意味ではかなり匙加減が調整されている。少々金八先生が茨木のり子の詩に依存しすぎているのが若干気になりますが、授業をきちんと役立てていることも好感を覚えるひとつ。
やー、何だかんだ言ってましたが、結局嵌ってるではないか私。残り10回ちょっと、安心して付き合えそうです。
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