夜叉とドラキュラ四世とを埋めた地から生えてきた、深紅の芽。それを発見したネズミ男は、深夜の電車内で遭遇した男・トランプ重井の腕に植え付けた。この木が一日に500ccの血を吸う、という診断を下された彼が絶望して安飲み屋で酒を呷っているところへ偶然居合わせたのが、鬼太郎を人間界で養育する水木であった……
オープニングテーマ『モノノケダンス』のカップリングに『有楽町で溶けましょう』というたわけたタイトルが記載されているのが気になっていたのですが、まさか本編でちゃんと使うとは。ゆえにゲストキャラのトランプ重井を演じているのはピエール瀧。妙に似合ってるんだが。
前回でとりあえず鬼太郎の拠り処は確保したので、いよいよここから“人間界で暮らす、決して人の味方ではない鬼太郎”という方向性が確立したようです。子供向けとなった『ゲゲゲの鬼太郎』に登場しているよりもあくどくがめつく、しかし何処か憎めないネズミ男が狂言廻しとしての役割を存分に果たし、他方で鬼太郎も、徒に強く人間に味方する、という決められた枠を離れて奔放に動き回っている。あんな情けない鬼太郎も新鮮なら、「お父さん、ふやけますよ」と茶碗風呂から摘み出されている目玉の親父、というシチュエーションも新鮮です。
話のほうは、意図は解るものの過程を省いている箇所が多い印象ですが、それでもテンポがよく不気味ながらシュールなおかしみも演出していて愉しい。しかもこれを現在、『ゲゲゲの鬼太郎』を手懸けている人物が脚本を執筆しているというのにちょっと受けました。
予告を見ると今回、新たな住居を得、憧れの存在まで鬼太郎が見出したことを受けて次の話へと発展させているのも、1話完結を基本とする『ゲゲゲ』に見慣れていると新鮮。やー、とにかく愉しいぞこのシリーズ。
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