雪の日。出かけるのを億劫がりながらも、南家三姉妹は雪の愉しさを満喫する。が、夜も更けた頃、街全体が停電してしまい……
見始めから気分がやさぐれます……そんな無駄で面白みのない会話に時間を割くな。いや、基本無駄ばかりの作品ではあるのですが、しかし話の構成はしっかりしていた前期と比べると、意図が判然とせず無駄な印象を齎すのです。ましてそもそも、これから借りようとしている本の内容、しかも連載で読んでいるとは到底思えない長期連載の内容を夏奈がやたら詳しく語る不自然は何なんだ。そしてこのくだり結局何のリンクもなし。
というか、脚本家がちゃんと部屋の構成を理解しておらず、演出がそれを補強していないのが苛立ちます。リビングでぬくもっているあの状況なら、「見に行こう」などと言って隣の部屋に行く必要などなく、そこから窓を覗けば雪が積もっているのくらい一目瞭然のはず。基本的に間取りが変なのですが、変なら変でちゃんと把握した上で書いていないから不自然さだけが際立つ。
話全体の流れは前回・前々回あたりと比べればよほどまし、なんですが、個々のネタが全然面白くないし、トータルで何をしたい、という目標が一向に見えてこない。やっぱりフユキの存在が『みなみけ』の物語空間を異様なものにしています。
いや、それ以前に後半、停電してからの言動はすべて奇怪。あんなに長時間停電が続くというのは間違いなく異常事態であり、恐らく警察や自衛隊が出動して街中はそれなりに騒然としてくるはず。少なくともマンションには自治会があるので、誰かしらお節介な大人が、女の子三人しかいない部屋の様子を確かめに来るはずです。百歩譲って停電がマンション内だけであったとしても、その場合管理人なりに事情の確認をしに行くほうが先。っていうか、この状態になったら幾ら出不精でも燃料を買いにコンビニに行くぐらいのことは考えるでしょう。父一人子ひとりの隣人を頼って、燃料があるというだけで褒め称えるようなのはどー考えてもおかしい。話の流れがまだましだとは言っても、細部が非現実的すぎるのです。
そして何より、やっぱりキャラクターの肉付けが変わりすぎている。性格が違うのが春香だけかと思えば、今回は夏奈も千秋も変です。とりわけ千秋はもう少し冷静に事態を見守りつつ、馬鹿は身辺から排除する、というキャラクターだったはずなのに、明らかに馬鹿にしている隣人にあんな言動をするはずはない。やっぱりこれは『みなみけ』としてあまりに受け入れがたい。
覚悟は決めていたつもりですが、やっぱり救いようのない不出来さでした……作画のクオリティは決して低くないだけに、脚本の拙さ、全体を見通す観点の乏しさがとにかく腹立たしい。折角街ぜんぶ停電+食糧なし、というシチュエーションをやるのなら、これこそオリジナルキャラなんか無理矢理絡めずに、第1期のようにサブキャラの視点での話を点綴してコメディとして束ねればいいものを、出来もしないのにいい話にしようとして却って不快感を募らせる話にする。だいたい今回のフユキの役割なんか、既存のキャラクターにやらせたほうが格段に面白かったはずです。冬馬を入れて女の子だらけほのぼの展開でもいけたでしょうし、いっそマコちゃんを連れてきたほうがずっとコメディとしても成立するし、巧く話を運べばそれなりにハートウォーミングにも出来る。
もー、ここまでどうしようもないアニメは初めてという気さえする。まだ『みなみけ』が絡んでいなければ、設定の統一感がなく検証の拙い作品、程度の印象で済みますが、これを原作付き、しかもかなり巧いかたちでアニメとして仕上げた前期がある状態で繰り出していることがいけない。酷い。ほんとーに酷い。
貶しつつも来週も観るつもりですが、それはもー「観ずに批判するべきではない」という考えからのことです。正直もう観られるレベルに恢復するとは思えません。毎週日曜深夜は苦痛を覚悟しよう……いいさ、翌日は私にとって癒しになる作品ばっかりだしな!
コメント
『大停電の夜に』の存在を知ったスタッフが、映画を観ずにタイトルと粗筋だけで妄想してみた脚本なんですよ、きっと。などと言ってみる、珍しくアニメ版を観ていた私。『呪い村436』が想像以上に物騒な映画だったんで、途中の小休止に観て和んだ (´-`)
私は『呪い村436』のほうが和めると思うんです。ツッコミどころの多さと人物描写でもー血が沸騰するかと思いました。
そういや確かそれ、昨年の今ごろに劇場未公開のままDVD発売されてて、ちょっと気になっていたんですが、面白かったですか?
『呪い村436』はリアルに物騒すぎて面白いですよ。脚本の発想がすごく日本人に馴染みのあるあれこれを採用していて。これが超常ホラーかサスペンスかはラストシーンの出来事で分かれますが、DVD特典の「もう一つのエンディング」とやらのおかげで両方とも補完されてました。