『キミ犯人じゃないよね?』第4話 遺体を瞬間移動させた彼女

 とある小劇団の主演女優・鴨川里紗に例の如く一目惚れした宇田川警部補。今回は事件絡みじゃないので無事デートに漕ぎつけたが、デパート屋上の遊園地で望遠鏡を覗いたとき、先にあるマンションの一室でいままさに殺人が行われている現場を目撃する。慌てて駆けつける宇田川と里紗、そして何の因果か遊園地の屋上でバイトしていたさくらの3人だったが、そこに屍体はなく、警察が捜査しているなか、海で問題の遺体が発見されたのだ。死亡推定時刻から換算して、本来1時間は必要な道程を三十分で移動し、しかも現場に足跡を残さず遺棄したと見られるのだが、果たしてそんなことは可能なのか……?

 ……もー、本当に『パズル』と比べてどうしてこんなに面白いのか。4話まで来たところで、宇田川の惚れる順序を従来と変えてみたり、『ささやき刑事』を再登場させて、あの無茶苦茶な内容を逆手にとってギャグにしてみせる。ユーモアを巧みに盛り込みながら、ちゃんとシリアスな場面も交えて解決篇への伏線を張っていく。このバランス感覚こそ、1話完結スタイルの短くスピーディな尺に必要なものです。何せこっちのメイン脚本は、もっと短い尺を積み重ねていくスタイルで何年も何代も続いている『ケータイ刑事』シリーズの支え手ですから、その辺よく弁えています。

 正直、仕掛けはけっこう見え見えですし、一部、無理のある部分もある。しかしそんなのは名作と言われるミステリだってあることですし、この作品に関して言えば、粗に目を瞑れるほど詰めが鮮やかなのです。背景が単純で犯行状況が軽率すぎるのはこの尺から思えば寧ろ妥当なくらい。さくらと宇田川の掛け合いはどんどんレベルアップしていくし、変化の効かせ方も巧いので、ますますこっちは楽しみになってきました。たださくらの過去についてはあんまし期待しないようにしてますが――こういうのは、振ったわりに成功することは少ないのです。

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