血みどろのバレンタイン、分量5割増しぐらい。

 週末の映画鑑賞には珍しく、午後からのお出かけです。封切り日の初回に訪れることが習いになっている私には、土曜午後あたりの混雑はけっこう鬱陶しいのですけれど、今日いちばん観ておきたかった作品が午後4時以降からの上映だったので、仕方ないのです。

 どうせなら、とハシゴをすることに決めて、まずは日比谷へ。シャンテ・シネと同じ2月3日にTOHOシネマズに編入されたスカラ座・みゆき座のうち、みゆき座のほうへ。ふだん私は某会員証の割引が窓口での購入にしか使えない都合から、TOHOシネマズのオンラインチケット販売サービス“Vit”を利用していないのですが、今日はTOHOシネマズデーで、特別料金のものを除き一律1000円で鑑賞できるので、久々にこれを利用して押さえておきました。が……困ったことにスカラ座・みゆき座はこれの発券用端末が1台しか用意されておらず、たまたま前に着いた人が不慣れであったために、発券にだいぶ手間取りました。シャンテのように、もぎりの人に断って中に入り発券する、というものではなく、いちおうもぎりの手前には置いてあるのですが、1台では“Vit”の売りである「並ぶ必要がない」というメリットがだいぶ損なわれると思う。せめて2台は欲しい。劇場の設備そのものは何も変わっていないので、あとは別に不満はありません。

 ともあれ本日の1本目は、昨年末の『地球が静止する日』から間を置かずに登場したキアヌ・リーヴス主演最新作――というより、ミステリ読者にはジェイムズ・エルロイが原案・脚本を手懸けた作品、と表現した方がいいでしょうか。乱暴な手段で正義を貫こうとする刑事が陥った窮地を描くクライム・サスペンスフェイク シティ ある男のルール』(20世紀フォックス・配給)。まだ『Nightwatchman』という仮題がついていた頃から楽しみにしていたのですが、これが大当たりでした。まさにエルロイの小説を読んでいるような感覚が味わえる、重厚かつ虚無感に覆われたミステリ。ミステリ読みなら背景についてはおおよそ想像がつくでしょうが、その手触りと息苦しいまでのクライマックスは秀逸。大満足の出来でした。

 鑑賞後、すぐさま地下鉄に乗って六本木へ。いつも立ち寄るラーメン屋で少し早めの夕食を摂ったあと鑑賞した本日のメイン・イベントは、ホラー映画『血のバレンタイン』を『ドラキュリア』のパトリック・ルシエ監督が3D映画としてリメイクした作品ブラッディ・バレンタイン3D』(XANADEUX・配給)。昨日の『13日の金曜日』同様、今日観ることがいちばんの目的だったので、出来にはもともとあんまり期待していなかったんですが……それにしてもちょっと、駄目でした。

 まずはとにかく3D眼鏡がかけづらい、というのがいちばんの難点です。誰でもかけられるように配慮しているようでいて、私のように強度の近視で眼鏡を愛用している人間の場合、もう致命的に使いづらい。引っ掛かるところがないのですぐ落ちてくるから、観ているあいだずーっと押さえていなければならない。眼鏡をかけている分焦点が奥の方へずれているせいか、ピントも合わずに目の疲れも著しい。肝心の立体映像も、良くできているところもありますが、全体的に“飛び出す絵本”のような印象でどうも興醒めです。ホラー映画としてはまあまあの出来だったのですが、それもあくまでレンタルビデオ木曜洋画劇場の作品のつもりで鑑賞すれば、というレベルであり、3D対応のため高めの料金を払って満足出来るかはかなり微妙。アトラクションだと割り切っていればそれなりに楽しめますが、私のように眼鏡を使用している人間は、かなり観づらいことを考慮しておいたほうがいいです。

 そうでなくてもハシゴは体力を消耗するものですが、2本目の3D映像のせいで疲れも5割増しになった気がします……1本目が傑作だったので、まあ満足はしてるんですけど。

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