神の声を聞くことが出来ると言い、教会で神秘的な力を用いた治療を行っていた少年が、突然の痙攣を起こしてハウス医師の病院へ担ぎ込まれた。少年はキャメロン医師とフォアマン医師の確執を言い当てるなどして病院内を騒然とさせるが、ハウス医師はいかれているか詐欺師だ、と取り合わない。だが、ウィルソン医師が担当する癌患者に少年が触れた後日、その患者の癌が小さくなっていることが判明する。ハウス医師は治療のために、彼の“奇跡”にからくりがあることを証明する必要に迫られる……。
このシリーズの邦題は、原題とまるで趣が違ったりとけっこう工夫をしていることが多いのですが、今回は完璧にそのまんまです。インパクトがあるし、他に表現しようのない話だからねえ。
“神の声が聞こえる”と称し、医師たちを翻弄して治療を拒む、という厄介な患者のために、今回はいつもと違った謎解きが行われています。珍しい緊迫感……なんですが、明かされた真相にはちょっと合点のいかないものを感じる。そんなに早く効果が出るものなんでしょうか。また、この通りだとするなら、少年の行動には間違いなく何らかの狙いがあることになってしまう。さすがにちょっとリスクが大きいように思えるのですが、どんなものなのか。
ただ、結果として、逆説的に“神の手”があることを証明したかのような話運びになっているのはちょっと面白い。神の声を標榜する少年の足許は崩せても、蹴り落とせるところに脚のないものを倒すことは出来ない、といったところか。最後の最後で妥協したように見えて、実のところハウス医師という存在も、最後にウィルソン医師が呼びかけたように“異質”なのだ、と告げているような、そんな話です。
それにしてもハウス医師とウィルソン医師、ちょっと仲良すぎではなかろーか。あんなに喧嘩してもほとんど後腐れを感じないし。
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