『Dr.HOUSE Season3』第13話 彼と家族の事情

 車の中で彼女といちゃついていた少年が、突如苦しみ始め、ブレインズボロ病院に担ぎ込まれた。例によって謎の多い症例に、ハウス医師は家捜しを部下に命じるが、少年の家族は独特の価値観を持っているため、聡明な少年は医者たちと接触させたがらない。だが、そうしているあいだにも少年の症状は次から次へと悪化していく……

 トリッター捜査官との対決が片づいた途端、ほんとーに急にシーズン1の雰囲気が戻りました。カディ医師とのじゃれ合いみたいなやりとりに、やたら症状の悪化し、診断を妨害する要素の多い患者。いや、トリッター捜査官がいてもその辺は一緒だったんですが、シリアス極まる駆け引きが多すぎてユーモアが消し飛んでいたのでしょう。相変わらず偏屈ですが、少なくともユーモアが自虐性から少し退いた。

 それにしても今回の患者は、その人物像の組み立ても症状の特徴も出色です。特にこの病因はちょっと強烈でした。何せ、これまでのエピソードでは、そもそものきっかけとなった病名を聞いてもピンと来ない、説明を聞いてやっと納得できる、というものでしたが、今回は発見した瞬間の納得ぶり、そのシンプルな衝撃は類を見ません。病名とか、どうしてあそこまで発展したのか、という話を聞かなくても、見つかった瞬間に「それはまずいわ!」と解ります。

 一方で、そこに重ねられたハウス医師とカディ医師、そしてフォアマン医師と患者のやり取りが実に効いている。負けると解っている賭け、そして幸せな家庭を築くことと決して相容れない生き方。考えてみればハウス医師に限らず、この物語に登場する医師たちはみな孤独です。あの青年が本当に幸せになれるか、必ずしも保証はないものの、そういう選び方を示したこのエピソード、トリッター捜査官との絡みがなくなったシリーズ折り返しとして、静かながらも重い役割を果たしているのかも知れません。

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