原題:“Predator” / 監督:ジョン・マクティアナン / 脚本:ジム・トーマス、ジョン・トーマス / 製作:ジョン・デイヴィス、ローレンス・ゴードン、ジョエル・シルヴァー / 製作総指揮:ローレンス・ペレイラ、ジム・トーマス / 撮影監督:ドナルド・マカルパイン,ASC / プロダクション・デザイナー:ジョン・ヴァローン / 編集:マーク・ハーフリック、ジョン・F・リンク / 衣装:マリリン・ヴァンス=ストライカ / キャスティング:ジャッキー・バーチ / 音楽:アラン・シルヴェストリ / 出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、カール・ウェザース、エルピディア・カリーロ、ビル・デューク、ジェシー・ヴェンチュラ、ソニー・ランダム、リチャード・シェヴス、R・G・アームストロング、シェーン・ブラック、ケヴィン・ピーター・ホール / 配給:20世紀フォックス
1987年アメリカ作品 / 上映時間:1時間47分 / 日本語字幕:岡枝慎二
1987年6月27日日本公開
2010年6月25日DVD日本最新盤発売 [DVD Video:amazon|Blu-ray Disc:amazon]
DVD Videoにて初見(2010/07/05)
[粗筋]
ダッチ少佐(アーノルド・シュワルツェネッガー)の指揮する救出部隊は依頼により、墜落したヘリコプターから現地のゲリラに誘拐されたと推測される大臣を救出するため、ジャングルに降下した。
ダッチにとって旧友であり、基地にデスクワークで詰めていたディロン(カール・ウェザース)も同行して潜入した墜落現場は、だが異様な様相を呈していた。墜落したヘリは大臣の送迎には不似合いな偵察用で、ゲリラが使うには大仰すぎる熱探知ミサイルの痕跡がある。しかもヘリの乗員の一部は皮膚を剥かれ、樹に吊された状態で発見された。
困惑しながらもダッチたちはゲリラの拠点を発見、激しい銃撃戦の末に制圧するが、そこに大臣の姿はない。実は誘拐された大臣の話は、ディロンがダッチたちを利用するために捏造したものだったのだ。襲撃直後、ゲリラの大部隊が到着するという情報を得たダッチたちは、ゲリラに囚われていたアンナ(エルピディア・カリーロ)という女を道案内に、急いで拠点を離脱する。
既にここは敵地のただ中、脱出が容易でないのはダッチたちも承知しているつもりだった。だが、この深い密林の中で彼らを待ち受けていたのは、これまでに遭遇したことのない種類の脅威であった……
[感想]
SFホラー映画を代表するモンスターが、初めて世間にお目見えした作品である。『エイリアンVS.プレデター』、『AVP2 エイリアンズVS.プレデター』と劇場で鑑賞したが、その原点のひとつである本篇はちゃんと鑑賞した覚えがなかったので、シリーズ最新作『プレデターズ』を観に行く前に改めて挑んでみた。
そうして、後付けの知識を備えた上で鑑賞すると、しかし本篇はイメージと随分隔たりがあるように感じられる。
何せ、序盤はあまりSFホラーという印象がない。既に異様な伏線は張り巡らされているが、あくまで何やら不穏な企みの入り混じった戦争アクション映画といった趣だ。ゲリラの拠点を破壊したあとの逃避行でようやく違った展開を見せるが、しかしそれでもまだホラー映画という印象には乏しい。あくまで姿の見えない、異様に高い戦闘能力を備えた敵との死闘、というテーマで貫かれたアクション映画に見える。
いや、恐らくは、そういう作品を志向していた、というのが実態ではなかったか。もしモンスターの脅威を観客に体感させるだけが目的であれば、そもそもメインにアーノルド・シュワルツェネッガーという肉体派俳優を起用する必要はなかったのだ。たぶん、シュワルツェネッガーという、当時ほとんど敵なしになってしまった俳優のパワーを改めて観客に知らしめるべく、これまでにない脅威を、と創造した結果が“プレデター”であった、という風に読み解ける。ただ、意外なほど魅力的に築きあげられたキャラクターを1作で、しかも完全に消化したとは言い切れない格好で終わらせるのを惜しんだクリエイターが、都市を舞台にした『プレデター2』を製作し、エイリアンとの対決を2作も続けさせ、更には一度はお蔵入りした企画を復活させる、という形での新作『プレデターズ』に繋がっていったのだろう。
実際、観ているあいだは面白いのだが、本篇は観終わったあとで何か物足りなさを覚える。シュワルツェネッガーの強さは当然でも、これだけ様々な能力を示した“プレデター”という怪物を相手にしたクライマックスとしてはあっさりしすぎている。序盤での謎めいた描写を巧く流用したシーンは印象的ながら、あくまでシュワルツェネッガーの見せ場を作るため、といった印象で、のちの“プレデター”の活躍を目の当たりにした人間にとっては歯痒さを禁じ得ない。逆にシュワルツェネッガーの人間離れした活躍を楽しみにしていた者には、終始圧倒されっぱなしだった本篇は多少は新鮮かも知れないが、期待とは異なる印象に戸惑ったことだろう。むしろ、序盤で見せた密林の中での戦闘のような、人間同士の駆け引きを続けていたほうが堪能出来たかも知れない。
考えていくと、単品では決して上出来とは言い難い。だが、工夫の結果として、長いこと愛されるクリーチャーを誕生させたことを思うと、やはり無視しがたい1本である。
関連作品:
『ローラーボール』
『閉ざされた森』
『ターミネーター3』
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