劇場で鑑賞した本数: 218本(延べ・228本)
昨年より108本増、トータルでもほぼ倍近い。何でこんなことになったのかと言えば、午前十時の映画祭と大成龍祭2011を極めて律儀に追い続けていたせいです。夏を過ぎたあたりからもう「今年は映画の勉強をする」と割り切り、なおさら加速させてしまった感はある。正直、観ることもそうですが、感想書きのために食われるリソースが並大抵ではないので、来年以降は抑えるつもり。
映像ソフトもしくはオンデマンドで鑑賞した本数: 64本
こちらは昨年より8本減……というか、外で観るのと家で観るのとを両立させるのは無理だった、ということでしょう。わりと無秩序に鑑賞していた感のある昨年に比べ、イーストウッドにジャッキー、“ワンチャイ”シリーズに『猿の惑星』シリーズと、けっこう系統立てて鑑賞した気がします。来年いっぱいで、イーストウッドとジャッキーはほぼすべて観た、というところまで辿り着きたい。
最も多く訪れた劇場: TOHOシネマズ六本木ヒルズ 87本
……映画道楽にハマり始めた頃の、1年間の鑑賞本数よりもたくさん通い詰めていたという。ここでの午前十時の映画祭はすべてフォロー、大成龍祭2011も30本中22本、それにオールナイトで3本と盛大に観まくりましたから当然です。その代わり、こういうイベント上映を省くと11本しか観ておらず、トップはやっぱりTOHOシネマズ西新井の26本になるのでした。
近くのうどん屋が行きつけになってしまったので、そこに行くついで、という気分で来年も六本木には2週に1回ぐらいのペースで通うつもりでいますが、恐らく来年はまた西新井にトップを譲ることでしょう。
私的ベスト10(2011年01月以降に劇場で封切り公開された作品)
順位 | 作品タイトル | 日本公開日 |
1 | 『灼熱の魂』 | 2011年12月17日 |
2 | 『1911』 | 2011年11月05日 |
3 | 『マネーボール』 | 2011年11月11日 |
4 | 『ソーシャル・ネットワーク』 | 2011年01月15日 |
5 | 『探偵はBARにいる』 | 2011年09月10日 |
6 | 『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』 | 2011年12月01日 |
7 | 『ロボット』 | 2011年10月25日 |
8 | 『インシディアス』 | 2011年08月27日 |
9 | 『宇宙人ポール』 | 2011年12月17日 |
10 | 『サラの鍵』 | 2011年12月17日 |
次点 | 『新少林寺/SHAOLIN』 | 2011年11月19日 |
たくさん観すぎててもうわけ解んねんです。出来映えのみで評価すると自分のなかで違和感が膨らんでしまうので、出来がいい、かつ自分が好き、という観点で絞り込みました。
そんななかで、1位に選んだこれは、今年終盤ににわかに現れたダークホースでした。ミステリ的なアイディアを極めて効率的に描き出した手腕もさることながら、その真相が齎す重みが凄い。今年のベスト1どころか、私にとってオールタイム・ベスト級の1本でした。
『灼熱の魂』が出るまでは1位に据えるつもりだったのが『1911』。今年は私にとってきちんとジャッキーに開眼した年となり、それゆえの思い入れもあるのですが、単なるスター映画にならず歴史のダイジェストにも堕さず、節度とバランスを保った仕上がりが実に渋い。残念ながら日本ではあまりヒットしなかったのですが、これは映画として素晴らしい1本だと思います。
正直なところ、3位以下の順序はそのときの気分で変化します。悩んだ挙句に3位に『マネーボール』を持ってきたのは、実はブラッド・ピットという俳優の総決算的な位置づけにある、という解釈ゆえです。
よくよく観ると邦画でランクインさせた唯一の作品となってしまった『探偵はBARにいる』は完璧すぎる娯楽作品。映画化としても理想的でした。
実は未だにランクインさせていいものか迷っていたのは、『ラジニカーントのロボット』です――何せ来年の劇場公開が決まっているので、来年に回したほうがいいような、とも思ったのですが、ヒットして欲しいので後押しの気持ちも含めて。
私的ベスト10(2010年以前に公開された作品)
順位 | 作品タイトル | 日本公開日 |
1 | 『アパートの鍵貸します』 | 1960年10月8日 |
2 | 『ドクトル・ジバゴ』 | 1966年6月18日 |
3 | 『アウトロー』 | 1976年8月7日 |
4 | 『友だちのうちはどこ?』 | 1993年10月23日 |
5 | 『スネーキーモンキー/蛇拳』 | 1979年12月1日 |
6 | 『ワイルドバンチ』 | 1969年8月9日 |
7 | 『サウンド・オブ・ミュージック』 | 1965年6月19日 |
8 | 『七人の侍』 | 1954年4月26日 |
9 | 『黒蜥蜴』 | 1968年8月14日 |
10 | 『十二人の怒れる男』 | 1959年8月1日 |
こちらも映画の出来映えより、思い入れの強さを優先しました。出来映えだけ考慮すると本当に頭が痛くなるのよ!
しかし、午前十時の映画祭を熱心に押さえていると、どれもこれも傑作揃いで悩みます。そんななかでトップに据えたのは、ビリー・ワイルダー監督の代表作のこれでした。ミステリ愛好家としては『情婦』に1票入れるべきところかも知れませんが、伏線の緻密さとドラマの心地好さといったもののバランスはこれがいちばん秀でている。何よりシャーリー・マクレーンが終盤に見せる表情の素晴らしいこと! 『昼下りの情事』のクライマックスもいいのですが、そういう恋愛風味も含めて、この作品が最高。
ビリー・ワイルダー監督に対する思い入れ、という部分を省いたら、こっちのほうを1位に推していたかも知れないのか『ドクトル・ジバゴ』。長尺を意識させない完成度、重層的に組み立てられた人間ドラマの妙味、そしてロシアを舞台にしているからこその映像美。2010年以来、古い名画の魅力に目醒めた私にとって、最も理想に近い作品でした。余裕が出来たらブルーレイを買おうかしら、と本気で思っている1本です。
3位は、のちの『許されざる者』に繋がるイーストウッド西部劇最初の到達点、という印象。古典的な西部劇の要素を盛り込みながらも、一風変わったクライマックスに仕立て上げていて印象的。今年は午前十時の映画祭でも『大いなる西部』、『シェーン』といった西部劇の傑作に触れてきましたが、それらを抑えてこれを3位に置いたのは……やっぱりイーストウッド作品が好きだから、という点に尽きるのかも。
以下は例によって時と気分によって入れ替わる可能性があります。5位に『スネーキーモンキー/蛇拳』を置いたのは、今年大量に鑑賞したジャッキー作品のなかで、出来映え、思い入れの点で私のなかで点数が高く、かつ彼のフィルモグラフィのなかで実は『ドランクモンキー/酔拳』よりも重要な作品ではないか、と感じているから。『ポリス・ストーリー/香港国際警察』とか『プロジェクトA』も無論いいんですが、そーいう色々な点を考慮してこれを残しました。
2012年の展望
2011年は、恐らく生涯で最も映画漬けになった1年となりました。3月時点では、この先観られる本数が減るかも、という不安が過ぎりましたが、或いはその反動もあったのかも知れない。
しかしこの1年で、空洞となっていた往年の名作に関する知識もある程度補えましたし、午前十時の映画祭もほぼ全作をフォローできました。来年は今のところ、毎週追い続けたいようなイベントも見つかっていないので、今年よりはだいぶゆっくりとしたペースになるはず。というか、来年はむしろ当初の目標値である100本程度に抑えたい。
……と言いつつ、来年も観たい作品が目白押しです。敬愛するクリント・イーストウッド監督の『J・エドガー』(Warner Bros.配給/1月28日公開予定)、デヴィッド・フィンチャー監督『ドラゴン・タトゥーの女』(Sony Pictures Entertainment配給/2月10日公開予定)、そしてジェイソン・ライトマン監督『ヤング≠アダルト』(Paramount Japan配給/2月25日公開予定)といった、絶対外せない作品が年初から多い。
ちょっと変わったところでは、想像上の生物をフェイク・ドキュメンタリー形式で描いた『トロール・ハンター』(TWIN配給/3月24日公開予定)、昨年の国内映画祭で高い評価を集め劇場公開が決定した『へんげ』(KING RECORDS配給/3月10日公開予定)もけっこう早いうちに予定が立っています。
まだ詳しい情報が出ていないものでも、昨年個人的に大ヒットだったホラーの続篇『ピラニア3DD』(Broadmedia Studios配給/2012年公開予定)に、フェイク・ドキュメンタリー形式によるホラーの名作シリーズ第3弾『[REC]3 Genesis』(Broadmedia Studios配給/2012年公開予定)、かのエイブラハム・リンカーンが吸血鬼と戦う『Abraham Lincoln : Vampire Hunter』(20世紀フォックス配給/秋頃公開予定)とか、気になるものがかなりある。
しかし最も楽しみなのは夏頃です。ウィル・スミス&トミー・リー・ジョーンズの黒服コンビが久々に復活する『メン・イン・ブラック3』(東宝東和配給/5月25日公開予定)、アメコミ映画の火付け役シリーズをリブートさせた『アメイジング・スパイダーマン』(Sony Pictures Entertainment配給/6月30日公開予定)、綾辻行人氏原作のホラー・ミステリ『Another』(角川書店配給/夏頃公開予定)もこの頃です。そして何より、クリストファー・ノーラン監督によるシリアス・ヒーロー3部作完結編『ダークナイト・ライジング』(Warner Bros.配給/7月28日公開予定)が控えている。
……そんなわけで、今年よりは数を減らすでしょうが、来年も映画道楽は止みそうもありません。可能な限り詳しい感想もアップし続ける所存ですので、引き続きお付き合いいただけると幸い。
しかし、そろそろこの趣味を収入に繋げることを考えないといかんかなー……。
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