原作:北尾トロ / 監督:塩崎遼 / 脚本:鈴木謙一 / 撮影:川野由加里、伊藤麻樹 / 照明:井上真吾 / 美術:福田宣 / 録音:永口靖 / 編集:城市圭介 / VFX:鹿角剛司 / 音楽:スキャット後藤、山田康人 / 出演:日村勇紀、前田健、及川奈央、西尾季隆(X-GUN)、イマニヤスヒサ、山野海、長野克弘、池永亜美、堀部圭亮、小村裕次郎、小林健一、笠木泉、吉田ウーロン茶(フラミンゴ)、こまつよしお、幸乃、氏家拓朗、渡辺翔馬、斎藤工、阿蘇山大噴火、螢雪次朗、村上航、尾上寛之 / 映像ソフト発売元:Aniplex Inc.
2010年日本作品 / 上映時間:51分
2010年ネット配信にて公開
2010年10月27日映像ソフト発売 [DVD Video:amazon]
公式サイト : http://www.do-suka.jp/ ※閉鎖済
DVD Videoにて初見(2012/02/01)
[粗筋]
パン工場に勤務する藤田ヤスオ(日村勇紀)はある日、裁判員候補として裁判所に呼び出された。自分みたいな人間がやっていいのか、という不安から、嘘をついてまで責任を逃れようとしたヤスオだったが、けっきょく選ばれてしまい、法廷に列席する羽目になる。
被告は牧村のぶ子(及川奈央)、容疑は殺人未遂。3日間に及ぶ審理のあと、ヤスオはどんな結論に辿り着くのか……?
[感想]
映画『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』公開時に、スピンオフとしてネット配信にて公開されていた作品である。
日村勇紀はオリジナル作品にもゲスト的に出演しているが本篇とは別人物であったのに対し、他の登場人物はオリジナルと重なっている者が多いので、併せて鑑賞すると愉しい。
あくまでPRの一貫として製作されていた作品であるため、尺は短く、ストーリー性は皆無に等しい。しかし、裁判というものを通して、普通の人間が見せる滑稽な振る舞いや奇妙な言動に触れる、という面白さがオリジナルと共通しているばかりか、オリジナルが終盤で見せる変化の収まりの悪さがこちらにはないので、ある意味オリジナル以上に題材の魅力を引き出している、という見方も出来る。
もともとは5分足らずの連続ショートドラマ、という体裁で配信されていたため、1話ごとに変化やオチが繰り出される。立て続けに鑑賞すると少々駆け足気味に感じられるし、全体を貫く仕掛けはないので物足りなく思えるのだが、しかし細かく笑いを鏤めるスタイルゆえに最後まで愉しめる。存在自体が特異な笑いを誘う日村勇紀のキャラクターも存分に活きていて、彼のコントに馴染んでいるような人であれば、オリジナルに接していなくとも堪能できるだろう(もっとも、オリジナルの主演はその日村の相方・設楽統なのだから、日村だけを熱狂的に贔屓にしている、という人でもない限り、あちらも観るはずだとは思うが)。
これはオリジナル版にもそういう性質があるが、まだまだ決して一般人にとっては身近とは言えない裁判というもの、とりわけ裁判員制度というものの雰囲気を、軽く感じることが出来る作品である。あくまでサラッと触れているだけだし、終始真剣味が感じられなかったり、終盤はいささかコントに走りすぎた描写も見られるが、本篇を観たあとだと、裁判員という重責に、少しぐらいは肩の力を抜いて臨める――かも知れない。
まあどちらにせよ、良くも悪くも堅苦しさのない、気軽に愉しめる内容である。オリジナル版もそうだが、こうした、制度の義務感を過剰に煽らず、笑い飛ばすぐらいの作品が現れるのは、決して悪いことではないと思う。
関連作品:
『十二人の怒れる男』
『12人の怒れる男』
『秘密結社鷹の爪 THE MOVIE II 〜私を愛した黒烏龍茶〜』
『ステキな金縛り』
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