『ジョン・カーター(3D・字幕)』

『ジョン・カーター(3D・字幕)』

原題:“John Carter” / 原作:エドガー・ライス・バローズ火星のプリンセス』 / 監督:アンドリュー・スタントン / 脚本:アンドリュー・スタントン、マーク・アンドリュース、マイケル・シェイボン / 製作:ジム・モリス、コリン・ウィルソン、リンジー・コリンズ / 撮影監督:ダン・ミンデル,ASC,BSC / プロダクション・デザイナー:ネイサン・クロウリー / 編集:エリック・ザンブランネン,A.C.E. / 衣装:メイス・C・ルベオ / キャスティング: / 音楽:マイケル・ジアッチーノ / 出演:テイラー・キッチュリン・コリンズサマンサ・モートンマーク・ストロングキアラン・ハインズドミニク・ウェストジェームズ・ピュアフォイダリル・サバラポリー・ウォーカーブライアン・クランストントーマス・ヘイデン・チャーチウィレム・デフォー / 配給:Walt Disney Studios Japan

2012年アメリカ作品 / 上映時間:2時間13分 / 日本語字幕:森本務

2012年4月13日日本公開

公式サイト : http://disney.jp/jc/

TOHOシネマズ西新井にて初見(2012/04/13)



[粗筋]

 1881年、ニューヨーク。エドガー・ライス・バローズ(ダリル・サバラ)は、世捨て人同然であった叔父ジョン・カーター(テイラー・キッチュ)が亡くなった、という知らせを受けて、急ぎ彼の屋敷に駆けつけた。エドガーを出迎えたジョンの弁護士は、ジョンが奇妙な遺言を残したことを彼に伝える。

 ジョンは自らの屍体を火葬せず、内側からしか開けられない特殊な霊廟に収めるように言い残していた。そして、全財産はいったん信託に委ねられ、成人したのちエドガーに譲られる、というのである。偏屈な彼が親族で唯一気を許していたのは確かに彼だったが、何故全財産を遺されたのか、理解出来ずにエドガーは戸惑う。そんな彼に、弁護士は「これを読めば解るはず」と、ジョンのノートを手渡した。恐る恐る開いたそこには、驚くべき物語が綴られていた――

 長年に亘って、黄金の秘宝を探し求めていたジョンは、遂にその手懸かりを探り当てた。戦闘の手腕を見込んで彼を軍隊に招き入れようと画策するパウエル大佐(ブライアン・クランストン)の手を逃れ、ネイティヴ・アメリカンの襲撃もかわし、ようやく辿り着いた洞窟で、だがジョンは突然現れた奇妙な風体の人物と交戦状態に陥る。辛うじて撃ち倒したが、その人物は意識朦朧となりながら、手に奇妙なメダルを握り、謎めいた言葉を口にしていた。メダルを掴み、その言葉に耳を傾けていたジョンは、次の瞬間、見知らぬ大地に放り出されていた。

 彼が飛ばされた場所は、惑星バルスーム――我々が“火星”の名で呼ぶ天体であった。そしてそこでジョンは、いままで想像だにしなかった世界を目撃する……

[感想]

 本篇は、公開されるまさに100年前から発表が始まった、SF小説に基づいている――如何せん、いまとは科学知識の水準もまるで異なる時代の作品ゆえ、もはやSFというよりはファンタジーの土台を築いた作品、といったほうが実態に近いようだが、いずれにせよこの原作が後年のフィクションにもたらした影響は非常に大きかったようだ。

 そのことは、かなり細部を補強した上で実写化したという本篇からも窺える。様々なモチーフが、のちの名作群と通じているのだ。異星の文化の描写は『スター・ウォーズ』シリーズや『アバター』を思わせるし、空飛ぶ乗り物のデザインは宮崎駿監督が手懸けるスタジオジブリ作品を彷彿とさせる――逆に、本篇の影響で生み出された映像作品が、古典の実写映画化である本篇に影響を及ぼしたのかも知れないが、イマジネーションの源泉は確かに感じられる。

 しかし何よりも、本篇の筋立てには、こうして連綿と受け継がれた空想科学冒険物語の面白さが詰まっている。

 突如異世界に飛ばされ、接触する未知の文明の、空想を限りなく羽ばたかせたその生態、ヴィジュアルに圧倒される一方で、現実にはあり得ない出来事の数々が導く冒険の魅力。異なる文明に所属する者たちが手探りで、少しずつ互いを理解し、反目し合う者もあれば、共に手を携えて、それぞれの目的を果たすべく危険へと身を投じる者も現れる。既視感を覚えるヴィジュアルやモチーフにも拘わらず、それらに興奮させられるのは、世界観と、そこで躍動するキャラクターたちが完成され、説得力が備わっているからだ。

 そして、本篇はそれを映像的にも、物語的にもしっかりと固めている。プログラムを読むと、火星に飛ばされる際のメカニズムや、タイトル・ロールであるジョン・カーターの背景などは、今回の実写化にあたって組み込まれた要素らしいが、それらが物語の筋立てを強化している。原作を丁寧に読みこみ、その精神に忠実に、しかし後続する作品群が完成させたイメージを融合して膨らませた本篇の優秀たる所以だろう。

 よく描けているからこそ、いまひとつ馴染みにくい、どちらかと言えば醜い異種族や、風変わりな生物の振る舞いも、いつしか親しみを覚え、ものによっては愛らしくさえ思わせてしまう。個人的に感心したのは、サーク族の女性ソラ(サマンサ・モートン)が飼育し、気づけばジョン・カーターの良き相棒となる生物ウーラである。はっきり言って最初はそのグロテスクな見た目に気圧されるのだが、ジョンに懐いて以来の振る舞いがあまりに健気で、次第に可愛く思えてくる。終盤に至っての活躍ぶりは、下手をするとジョンたちよりも胸を熱くさせるくらいだ。

 如何せん、既視感を覚えるモチーフばかりであるがゆえに、古臭い、独創性がない、と感じてしまう向きがあるのも当然であろう。だが、それでも世界観に忠実に、誠意をもって築きあげられた本篇は、現代であっても充分に通用する、優れた冒険物語に仕上がっている。続篇を匂わせる結末ながら、本国アメリカでは成績が振るわなかったためにシリーズ化が不透明な情勢となっているようだが、出来ることならジョン・カーターの更なる冒険を披露していただきたいものである。

関連作品:

ファインディング・ニモ

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カールじいさんの空飛ぶ家

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コメント

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