坂崎幸之助のお台場フォーク村デラックス第33夜 お台場うたの盆まつり「ももいろフォーク村(Z)」

 この夏はちょっと余裕がありそうなので、気になったイベントにはなるべく出かけよう、と思い、以前さだまさしの出演した回に行ったきりのお台場フォーク村デラックスのチケットを押さえておりました。3日連続はしんどいのでどれか1日、出演者で選ぼうと考えていたのですが、チケット発売当初は演目が発表されておらず判断が出来ない。なら、とりあえず無難に初日を押さえておくか、と購入してみて、数日後にようやく発表された演目を見て、愕然としました。

 ……なんでももいろクローバーZなの?!

 驚きつつも、まあせっかく生で聴けるのだから、と愉しみにしているうちに早々と公演当日です。天気予報では陽気がいささか怪しかったので、本日は電車にて移動――先週からやたらと長距離の移動を繰り返していたので、そろそろ辛くなったのです、正直なところ。

 しかし本日、驚きはももクロだけではなかった。前に来たときはバラエティ豊かと言い条フォーク寄りだったのですが、今日はまあバラエティに富みすぎて、いっそカオスと言いたいレベル。

 最初に登場した雅-MIYAVI-は、私も知らなかったのですが、アコースティックギターを実にハードに演奏するタイプのロック。いきなりのパワフルな音に度胆を抜かれてましたが、あちらはあちらで、世界各国を回るほどのミュージシャンだというのに、「何処よりもアウェイ感が半端ない」と戸惑っていた模様。それでも会場が乗っていったのは、当人の技術もあるのでしょうが、観客側でもあまりの異様な空気に、盛り上がるしかない、と覚悟を決めたような気が。

 予定では次にポカスカジャンの番だったらしいのですが、既に若干押していて、このままだと未成年が出演出来る22時のラインを越えてしまう、ということで、急遽ポカスカジャンが大トリに回される、という展開に。繰り上がりで登場したのは、氷川きよし。彼もまた、雅以上にアウェイ感に戸惑っているようでしたが、そこはさすがに演歌歌手、いつもとは違う往年のフォークソング、歌謡曲を圧倒的な歌唱力で聴かせてくれました。

 そしてその氷川きよしが、事務所の後輩として紹介した次の出演者が凄かった。はやぶさ、というグループ名の3人組、往年のムード歌謡を思わせる持ち歌を、スタンドマイクを前に直立不動で歌う――かと思いきや、サビで突如激しく踊り出す。その振付がまあ忘れがたいこと。その後、ももクロは真似るわ、ポカスカジャンもさっそく採り入れるわ、ラストのメンバー紹介でもミュージシャンが真似するわ、恐ろしい影響力を発揮していました。はやぶさ、侮れません。

 最後に持ち歌『ズンドコ節』をはやぶさも交えて歌い、氷川きよしらは終了。そして遂に、ももクロの登場です。演奏はやっぱり坂崎を軸とする面々が担当したのですが――ファンがいつもの調子で掛け声を入れてしまったので、坂崎らの演奏がほとんど聴こえなかったのが残念。アコースティック寄りのアレンジはたぶんファンにとっても貴重だったと思うんですが……まあ熱意は伝わったからいい。

 演奏順を入れ換えたお陰でだいぶ余裕が出来たとかで、そのあとはたっぷりとトークを交えつつ、各メンバーが坂崎の伴奏で往年のフォークや歌謡曲を歌う流れへ。実は坂崎の従兄弟がももクロチーフマネージャーだとかで、勢いフリートークは従兄弟氏の過去を突っつく展開になってました。各メンバーによる歌唱は、しょーじきに言えば拙い娘もいたんですが、ちゃんと勉強してきたうえで振付を工夫していて大変に快い……如何せん、彼女らが歌った曲ぜんぶ、よーく知っている曲だったせいで、子供を見守る親気分でした。

 最後にTHE ALFEEの名曲『Sweat & Tears』を熱唱して、ももクロは退場。そして結果的に大トリを預かることになったポカスカジャンがようやく登場。あんまりな流れに当人たちも不安を抱いていたようですが、ここまでのあまりにカオスな流れにすっかり「何でも来い」ムードになっていたので、恐らく全出演者中、最も快く出迎えられました。彼らが順番を譲ってくれたお陰で、心置きなくももクロに時間が割けたわけですから。ネタ自体も面白かったんですが、正直、過剰に受けていた気がします。

 どうやら22時前にすべての演目をこなすことが出来たため、無事にアンコールにもももクロは登場、全出演者で『あの素晴らしい愛をもう一度』を歌い、最後に坂崎がギターの弾き語りをして本篇は終了。しかし温まりきった観客はそこで終わらず、2回も坂崎を呼び戻してしまいました。吉田拓郎の『春だったね』から『夏休み』を歌い、「もう最後だからね」というひと言でようやく終了。

 最初から最後まで経験したことのないカオス状態で、終始読めない状況でしたが、しかし様々なファンが一堂に会している、という認識のお陰か、とても暖かい雰囲気のイベントで、実に愉しかった。……元々好きなアーティストばかりが集う明日の回に未だ若干の未練は残りますが、しかし今日は今日で観ておいてよかった。

 ちなみにセットリストは既に公式サイトに掲載されてますので、そちらを参照ください。

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