ジャッキー・チェン作品渉猟、今回は曰く付きの作品。ベースはジャッキー初主演作なんですが、これを『酔拳』ヒットののち、新たに撮り足した映像を加えて、無理矢理新しい映画に仕立ててしまった、というもの。それ故に、大事なシーンで別の人がジャッキーの役を顔を隠して演じていたりして、当然ながらジャッキーは自分の出演作と認めていないらしい。
……しかし、経緯を抜きにしても、これはかなりの駄作。話の展開が雑すぎる。隠遁生活を送る家族とかカンフーを禁じられているとか、親の敵を見つけて直接対決、といった要素は定番なんですが、それぞれに必然性がまったくない。隠れるのはともかくなんでカンフーをするなと命じていたのか、あの師匠はなんでお金のない子供に指導しようと思ったのか、とか、流れもいちいち変ですが、如何せんジャッキー本人を新しい撮影に招くことが出来なかったため、無理矢理に尺を伸ばしている感が強い。特に、ユエン・シャオティエンとディーン・セキの対決は、導入も変なら戦いも無駄に長い。どっちもいいキャラクターなのに、観ているとうんざりしてくる、という。
まだカンフー映画の見せ方を体得していない、しかし動きにはキレがある、という不思議なジャッキーが観られる、という以外に見所はありません。何せ、オリジナルであるはずの台湾語の音声がところどころ欠落していて、何とクライマックス15分ぐらい無音になるというぐらいひどい状態*1なので、これもまた、ジャッキー全作制覇を目論んでいるような人以外は観る必要、ないと思います。体調が戻りつつあったのに、これを観ていたらまた眠くなってしまいました……。
*1:英語音声はあるため、そっちが主音声扱いになっている。
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