原題:“The Blues Brothers” / 監督:ジョン・ランディス / 脚本:ジョン・ランディス、ダン・エイクロイド / 製作:ロバート・K・ウェイス / 製作総指揮:バーリン・ブリスタイン / 撮影監督:スティーヴン・M・カッツ / プロダクション・デザイナー:ジョン・J・ロイド / 編集:ジョージ・フォルシー・ジュニア / 衣装:デボラ・ナドゥールマン / 音楽監修:アイラ・ニューボーン / 出演:ジョン・ベルーシ、ダン・エイクロイド、ジェームズ・ブラウン、キャブ・キャロウェイ、レイ・チャールズ、キャリー・フィッシャー、アレサ・フランクリン、ヘンリー・ギブソン、マーフィ・ダン、スティーヴ・クロッパー、ドナルド・ダック・ダン、ウィリー・ホール、トム・マローン、アラン・ルビン、ルー・マリーニ、マット・マーフィ、ツイッギー、キャスリーン・フリーマン、ポール・ルーベンス、チャカ・カーン、フランク・オズ、スティーヴン・スピルバーグ、スティーヴ・ローレンス / 配給:ユニバーサル×CIC / 映像ソフト発売元:GENEON UNIVERSAL
1980年アメリカ作品 / 上映時間:2時間13分 / 日本語字幕:金田文夫
1981年3月7日日本公開
午前十時の映画祭10-FINAL(2019/04/05~2020/03/26開催)上映作品
2012年5月9日映像ソフト日本最新盤発売 [DVD Video:amazon|Blu-ray Disc:amazon]
午前十時の映画祭10-FINAL(2019/04/05~2020/03/26開催)上映作品
TOHOシネマズ六本木ヒルズにて初見(2012/06/20) ※バック・トゥ・ザ・シアターVol.1
[粗筋]
懲役を終え、出所したジェイク(ジョン・ベルーシ)を、孤児院で兄弟のように暮らし、長年辛苦を共にしてきたエルウッド(ダン・エイクロイド)が出迎えた。
ふたりは揃って、育った孤児院を訪れるが、母親代わりであったシスター(キャスリーン・フリーマン)は、悪さばかり働いていたふたりを歓迎しなかった。そしていま、孤児院は資金難に陥り、近日中に5000ドルの税金を納めないと建物を奪われるところまで追いつめられていることを訴える。
快く出迎えられなかったが、どうにか恩返しがしたい。頭を悩ませたジェイク達は、立ち寄ったミサの華々しいゴスペルに耳を傾けるうちに、天啓を受ける――俺たちには、音楽がある。
ふたりはかつて、R&Bのバンドを結成していた。ジェイク達は散り散りになったメンバーのもとを訪れ、再結成を働きかける。退屈な仕事に飽き飽きして、乗り気で加わる者もいれば、地道に働いてそれなりの地位を築いたために参加を渋る者もいたが、脅迫まがいの手段も交えた呼びかけで、どうにか往年のメンバーを揃えることに成功した。
行く先々で、謎の女(キャリー・フィッシャー)によって住居を爆破されたり、ミサイルを撃ち込まれたり、と派手な攻撃を仕掛けられながらも、ジェイク達は飛び込みライヴを成功させたり、着実に稼ぎ始める。そして遂に、大舞台を迎えるのだが……
[感想]
痛快、爽快。そんな表現以外、特に必要のない作品、という気がする。
この作品は、日本でもその名を知られる伝説的番組『サタデー・ナイト・ライブ』のなかで登場していたキャラクターが土台になっているのだという。名前こそ知られていても、日本では多くの人に観られていたわけではなく、30年以上経過したあとで観た者にとっては馴染みが薄い。多少ポピュラー音楽に知識がある者なら、聖歌隊にジェームズ・ブラウンやチャカ・カーンの姿があり、かのレイ・チャールズが楽器店の店主として飄々と演奏を披露しているさまに瞠目するが、本当にいっさい予備知識がなければ、唐突な演奏にしばらく戸惑うかも知れない。
だが、観ているうちにその破天荒さがだんだんクセになってくる。聖歌隊の演奏を聴いているうちに天啓を受けたジェイクが突如大回転をキメて歌い踊り始め、ミュージカル映画ふうのノリを示すかと思えば、家のドアが壊されていても突然爆破されても平然と出かける。そうしたシュールな行動に、何故か芯が通っているように思え、決していい風采でもないのに、妙に格好良く見えてしまう。
もとがコント主体のバラエティから出て来ているので、いわば全篇がコントなのだ。しかし、数々のトラブルにさほど悩む様子もなく、自らも騒動を仕掛けたりするさまは独特の軽快さがある。色々と面倒なことを考えるな、ただ愉しめばいい、とばかりの振るまいに、観ている側の鬱憤まで吹き飛ばされるような心地がする。演奏シーンばかりではなく、途中に挿入される派手なカーチェイスも出色だ。スタントや特撮の技術が向上し、現実離れした壮絶なカーチェイスはその後も多く生み出されているが、本篇の一種、金にものを言わせたようなど派手さは最近には珍しく、見応え充分だ。
物語、と呼ぶには構造は単純で、ドタバタで膨らませているに過ぎない。教訓めいた要素もなく、観終わって残るものも皆無に等しい。だが、その突き抜けた面白さこそが本篇の魅力的たる所以だろう。観終わってハッピーになれる、ということさえ解っていれば、きっと充分だ。
関連作品:
『Ray/レイ』
『バンド・ワゴン』
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