私のタコ先生。

 このあいだも書いたように、当初の予定ではきょう、『るろうに剣心 最終章 The Final』を観に行くつもりでした。
 が、ご存じのような事態で、映画館はほとんど協業に突入してしまった――実は、ちゃんと調べると、営業している映画館もないではない。もともと細々と営んでいる、独立系のミニシアターなどは、以前の座席を間引いたスタイルで上映を行っている。そんな中に『剣心』をかけているところもあることはある。しかし、この作品は出来る限りハイグレードなスクリーンで鑑賞したい。申し訳ないけれども、ミニシアターとかで観るのはちょっと勿体ないので、大人しく再開を待つことに。
 午前中にローテーションをこなし、昼食はこないだから食べたかったつじ田の味玉つけ麺をテイクアウトで購入して済ませ、そのあと仮眠を挟んで、配信にて映画鑑賞。
 選んだのは、きのう発表の第93回アカデミー賞にて長篇ドキュメンタリー部門に輝いた作品、映像作家が故郷の海で出会った命からもたらされた教訓を描いたオクトパスの神秘:海の賢者は語る』(Netflix配給)
 ……ノーチェックだったのが悔やまれるくらいの傑作でした。
 タイトルからてっきり海洋生物を扱ったドキュメンタリーかと思ってたら、序盤はちょっと趣が違う。ある程度進むと、タイトル通りタコにスポットが当たるのですが、その生態のあぶり出し方が実に深い。驚くほどの知性に注目する一方で、そこに語り手である映像作家自身の思索を重ねていき、ドキュメンタリーでありながら優れたドラマを見ている気分になる。
 本篇であまりにも克明に追い、その優れた知性と社会性を目の当たりにしてしまったせいで、終盤、自然では当たり前の出来事がどうしようもなく切なく映る。しかしそこも決して包み隠すことなく描きだしたのも賞賛に値します。
 Netflixの常で、説明があまりにもあっさりしているせいで見落としてしまいますが、これは確かにオスカーに相応しい内容。外出自粛期間のあいだに観ておくことを心からお薦めしたい。

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